荒川区4

渋谷かな

第1話 荒川区4

「面白くない!」

 救世主アップルは何かに気がついた。

「どうしたの?」

 星の精霊キラキラが問う。

「私一人スーパーなヒロインがいても面白くない。やっぱり比較できるキャラクターがいないと。」

「ダメキャラね。それは物語が面白くなっていいわね。」

 時を戻そう。

「アップルは星のリングに選ばれた者なの。時間を戻せてもなんら問題はないわ。」

 星の流れが逆回転していく。


 荒川検車庫。

「いでよ! 救世主!」

 元荒川区長と開成賢者が魔法陣を光らせて救世主を召喚している。

「どうも! 救世主のアップルです! アハッ!」

 二度目なのでリハーサル済みのアップルが召喚された。

「ここはどこだ!? おまえたちは何者だ!?」

 もう一人、救世主が現れたが戸惑っている。

「おお! よく来た! 救世主たちよ!」

「はい。王様。早く軍資金くれ。」

「え・・・・・・。」

 アップルは物語の流れに精通している。

「こらー! 元荒川区長に失礼だぞ!」

「おまえみたいに学があっても役に立たなかったら意味がないんだよ。バーカ。」

「ガーン!? 開成の私がバカにされた!?」

 アップルの前に敵はない。

「ちょっッと待て!? だからここは何なんだ!?」

 もう一人はまだ自体が呑み込めていない。


「よく来た! 救世主! 二人。」

「あ、名前を省略された。」

「仕方がないだろう。救世主が二人なんだから。」

「しまった!? 救世主を二人にすると私の出番が減るのか!?」

 アップルは引き立て役を呼んだことを後悔した。

「分かった。分かった。改めて言い直してやろう。よく来た! 救世主! アップルとオレンジよ!」

「え!? おまえ名前がミカンなの? 私と果物被りじゃん。改名しろよ。」

「人に求めるな! 自分が改名しろ!」

 オレンジは真っ直ぐな性格だった。


「魔王と戦うためにリングを与えよう。この中から好きなのを選べ。」

 3つの指輪を出す王様。

「じゃあ、剣士見習いのリングを頂きます。」

 オレンジは剣士見習いのリングを手に入れた。

「ん? アップルは選ばないのか?」

「フッフッフッ。私は既に持っているのだよ。星のリングを。」

 キラっと星のリングを見せびらかすアップル。

「なんだ。安物のおもちゃの指輪か。」

「こらー! 安物とはなんだ! 星のリングは時間すら超えていけるスゴイ指輪なんだぞ! だから私はこのくだりは2回目なのだ!」

「そういうことか。だからおまえの行動は先をいっていたのか。どうりでおかしいと思った。」

 オレンジは謎が解けた。















































  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

荒川区4 渋谷かな @yahoogle

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る