落書き
宮脇シャクガ
お寺にて
お寺付属のこども園にて
「本当は今日なんですが、明日、上皇様のお誕生日を祝いましょう。」
ということになった。
「浄土真宗だからお肉は大丈夫だけど、明日くらいは牛や豚を避けて鳥にしましょうか。」と。日本の仏教ですからね。
「冬の緑はめでたいものです。お正月の松のように常緑樹を飾りましょうか。ヒイラギの様に魔を祓う針葉樹がいいですよね。」
実に和風ですねえ。
樹には短冊をつるして、仏教にゆかりのある聖徳太子様の逸話にちなんで、てっぺんには星を飾ることに。きらきらと金色の物も飾ると緑が引き立ちますね。
「なまはげの様に良い子には何かいいことがあるといいですねぇ。」
なまはげは鬼だからやっぱり赤い服装。雪の白に紅白で実にめでたい。
「流石にもう令和だから偉いお方の誕生日にケーキくらいは出してもばちは当たりませんよね。」
「中国の春節みたいに爆竹を鳴らしてもいいですけど、小さなお子さんには危ないから手持ちの危なくないやつにしましょうか。」
と、準備をしていると若い先生から
「園長先生、どこかで見覚えのある光景なんですけどこれ大丈夫なんですか?」
と、聞かれて
「毎月24日はお地蔵様の日、明日は一年で最後のお地蔵様の日です。お地蔵さまは子供の守り神です。きっと喜んでくださいますよ。」
「それに…」
続けようとして、子供に遮られる。
当日になって言えなかった続きを思う。
子供の幸せのためにいろいろな理屈をつけてお祝いをするのが実に日本らしいじゃないですか。と。
それに、人間の幸せの形ってどんな国でも似たり寄ったりなのかもしれませんよ。
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