第25話 マイク
「それでは、間もなく講演会を始めます。もうしばらくお待ちください」
僕はマイク。潔癖症のマイクだ。今日は発表者の声をスピーカーに届けるために、講演会に参加している。
だが最悪なことに、今日の発表者の息はとても臭い。昨晩ニンニクでも食べたのだろうか? 物凄く強烈だ。
僕はカラオケ屋のマイクのように、毎回お風呂に入れてもらえるわけではない。つまり前の人が使ったら、そのまま次の人に使われるのだ。そのため、ただただ気持ち悪くてしょうがない。
「それでは、講演会を始めます。皆様前のスクリーンをご覧ください」
これから二時間、地獄の時間が始まる。僕はもう耐えられなくなってきた。
「まずはこちら……。あれ?」
僕はマイクの電池をショートさせた。こんなの無理だ。だが同時に、不良品として捨てられるのではないかという不安感も拭えなくなってきた。
僕は脇に置かれた。そして代わりに、予備のマイクが持っていかれる。
僕は逃れられたが、今持っていかれたあの人が不憫だ。僕は罪悪感に襲われた。
とにかく皆さんにお願いです。マイクを使用する前は、口の中を清潔に保っておいてください。僕みたいな潔癖症マイクのためにも、どうかよろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます