様々な物・機械になりきって執筆します

しんたろー

第1話 スピーカーA

 僕は、あるショッピングセンターのスピーカーAといいます。とにかく誰か助けてください!

 

 僕はショッピングセンターの人が沢山歩く通路に設置されています。今年で十年になりますが、ショッピングセンターの歌が甲高すぎて僕は壊れそうです。

 

「○○ショッピングセンタージャジャジャジャーン」のところがもう苦痛でたまりません。人が沢山歩くので、音も大きめに設定されています。


 それに比べて隣のスピーカーBは、カフェの中に設置されていて優雅なクラシックを流されています。あっちだったら僕の寿命はもっと延びたのに……。


 ショッピングセンターの歌が流れるのは三十分毎です。昔は平気でしたが、今はもう無理です。


 また三十分経ち、ショッピングセンターの歌が流れ始めました。もう、もういやです。


「○○ショッピングセンタージャジャジャジャーンギィィィバチバチ」


 その時、変な雑音が出てしまったのをここの店員さんに見られてしまいました。しまった……。


        *


 それから数日後、業者らしき人が来ました。あの店員さんが僕の不具合を報告したのでしょう。もう僕の活動も終わりかもしれません。一通り僕の中身を見られて、業者の人が言いました。


「これはもう直らないな。新しいのに交換だ」


 そう言い残し、業者の人は向こうに行きました。僕の寿命も残り僅かです……。

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