慕容麟2 凶徒

慕容宝ぼようほう参合陂さんごうはの戦いに敗れたあと、

慕容麟ぼようりんの配下將であった慕輿嵩ぼよすう

密かに慕容麟を主として推戴し、

謀反を起こそうと企む。


それはすぐに明るみとなり、

慕輿嵩をはじめとした下手人は

皆殺しとなったのだが、

この一件によって慕容宝と慕容麟の間に

常に猜疑心が横たわるようになった。


慕容宝が慕容垂のあとを継いだ直後、

北魏ほくぎ軍は中山ちゅうざんを攻撃、包囲。


このときの戦いで、慕容麟は

しばしば作戦行動の邪魔をする。

そして慕容宝が打って出て

北魏軍を打ち破った隙を突き、

妻子を連れて出奔した。


やがて慕容宝が

再び北魏軍に迫られたため

中山を脱出すると、

慕容麟は空となった中山に侵入。

先に中山に居座って皇帝を僭称した

慕容詳ぼようしょうを殺害、自らも皇帝を名乗る。


が、すぐさま北魏に攻め立てられ、

中山からぎょうに落ち延びた。


鄴には慕容麟の叔父、慕容徳ぼようとくがいた。

慕容麟は慕容徳に近づくと、

皇帝となってはどうか、とそそのかす。


その言葉を受け入れた慕容徳、

慕容麟を司空とし、

かつ尚書令を兼務させたのだが、

間もなく謀反を企んだため、殺した。




及寶參合之敗,麟將慕輿嵩潛謀作亂,欲奉麟為主。事洩,嵩等伏誅,麟與寶自相猜疑。既而寶即位,魏攻圍中山,麟屢撓戰計,以致覆師。後寶襲擊魏軍,大敗而還,麟遂作亂,將妻子出奔。寶敗于魏,棄中山走。麟尋襲殺開封公詳而自立于中山。為魏所敗,奔至鄴,勸叔父范陽王德稱尊號。德以麟為司空,領尚書令。未幾,謀反,德殺之。


寶の參合の敗に及び、麟が將の慕輿嵩は潛かに亂を作さんと謀り、麟を奉じ主為らしめんと欲す。事の洩るるに嵩らは誅に伏され、麟と寶は自ずと相い猜疑す。既に寶の即位せるに、魏は中山を攻圍し、麟は屢しば戰計を撓げ、以て覆師を致す。後に寶の魏軍を襲擊し、大いに敗りて還ぜるに、麟は遂に亂を作し、妻子を將い出奔す。寶の魏に敗るるに、中山を棄て走ず。麟は尋いで開封公の詳を襲殺し、中山にて自立す。魏に敗らる所と為り、奔りて鄴に至り、叔父の范陽王の德に尊號を稱すべく勸む。德は麟を以て司空と為し、尚書令を領せしむ。未だ幾ばくもなく反を謀らば、德は之を殺す。


(十六国50-2_衰亡)




えっなにこのクソオモシロ厄種……。

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