羅什7  呂光死す    

後涼こうりょうの中書監、張資ちょうしと言う人は

実に温かみのある文章を書く人であり、

呂光りょこうに非常に高く買われていた。

そんな張資が病を得てしまったため、

呂光は国内に大々的に治療法を求めた。


外国からやって来た僧侶、羅叉らさが言う。


「私なら彼の病を治せます」


この言葉に呂光は喜び、

さっそく羅叉に事前報酬を与えまくった。


が、クマーラジーヴァは知っていた。

詐欺だろこいつ。


なので、張資に言っている。


「あれはあなたの病を治せませぬ。

 資産を損ねるのみとなりましょう。

 天命は人の身にては

 見出しきれぬものではございますが、

 一応、試せぬこともございませぬ」


クマーラジーヴァが持ってきたのは、

五色の糸であった。

それを縒り合わせて縄とし、燃やす。

残った灰を水の中に投じた時に、

また縄の形に戻るようであれば、

病が癒えることはないだろう、

と言うのだ。


えーと、つまり、

……どういうことなんだぜ?


灰を投げ込んだ。

縄の形に戻った。

張資は死んだ。


羅叉の治療は意味がなかったのだ。


ただ、間もなく呂光も死んだ。

嫡子の呂紹りょしょうがあとを継いだのだが、

数日後には呂纂りょさんに殺された。

そして呂纂は咸寧と改元した。




光中書監張資,文翰溫雅,光甚器之,資病,光博營救療。有外國道人羅叉云:「能差資疾。」光喜,給賜甚重。什知叉誑詐,告資曰:「叉不能為,益徒煩費耳,冥運雖隱,可以事試也。」乃以五色絲作繩結之,燒為灰末,投水中,灰若出水還成繩者,病不可愈。須臾,灰聚浮出,復繩本形。既而叉治無效,少日資亡。頃之,光又卒,子紹襲位。數日,光庶子纂殺紹自立,稱元咸寧。


光が中書監の張資は文翰溫雅なり。光は甚だ之を器とし、資の病せるに、光は博く救療を營ず。外國の道人の羅叉なるもの有りて云えらく:「能く資が疾を差さん」と。光は喜び、賜を給せること甚だ重し。什は叉の誑詐なるを知り、資に告げて曰く:「叉は為す能わざらん、徒らに費の煩わすこと益すのみ。冥運の隱なると雖ど、事を以て試すべきなり」と。乃ち五色の絲を以て繩を作し之を結い、燒きて灰末と為し、水中に投じ、灰の若し水より出で繩を成したるに還ずらば、病は愈ゆるべからず。須臾にして灰は聚まりて浮き出で、復た繩は形を本とす。既に叉が治に效無く、少しきの日にて資は亡ず。之の頃、光も又た卒し、子の紹が位を襲う。數日にして光が庶子の纂は紹を殺し自立し、元を咸寧と稱す。


(高僧伝2-7_術解)




纂だけに簒奪ってねHAHAHA


……字が違うじゃねーか!(逆ギレ)

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