姚泓17 劉裕侵攻9

姚泓ようおうの周囲では次々と離反が発生、

その上で東晋とうしん軍がずんずん近づいてくる、

もはやにっちもさっちもいかない。


正月の朝、姚泓は群臣をあつめ、

年始の訓示をなそうとしたのだろう。

だが、出てくるのは言葉ではなく、涙。

その様子を見て、群臣らもまた涙した。


いっぽう、安定あんていに詰めていた、姚恢ようかい

かれは安定の城を焼き払い、

38000 の配下を引き連れ、長安ちょうあんに進む。

戦車で方陣を組んでの進軍であり、

明らかに剣を向ける気まんまんである。


ついには大都督、建義大將軍を自称。

周辺州郡に檄文を飛ばし、

君側の悪を取り除く、と宣言した。


姚恢の動きには、姜紀きょうきが呼応。

また陰密いんみつを守っていた彭完都ほうかんと

姚恢が迫ってきていると知り、

任地を放棄し、長安に逃げ込んだ。


姚恢は更に進み、新支しんしに到着。

ここで姜紀が、姚恢を説得にかかる。


「この国の要将は東方に出払い、

 長安の守りは手薄です。

 ならば、姚恢様は軽騎兵を率い、

 速やかに襲撃なさいませ。

 さすれば容易く、事はなりましょう」


しかし姚恢、その提言を却下。

南に進み、郿城びじょうを攻撃した。





泓以內外離叛,王師漸逼,歲旦朝群臣於其前殿,淒然流涕,群臣皆泣。時征北姚恢率安定鎮戶三萬八千,焚燒室宇,以車為方陣,自北雍州趣長安,自稱大都督、建義大將軍,移檄州郡,欲除君側之惡。揚威姜紀率眾奔之。建節彭完都聞恢將至,棄陰密,奔還長安。恢至新支,姜紀說恢曰:「國家重將在東,京師空虛,公可輕兵徑襲,事必克矣。」恢不從,乃南攻郿城。


泓は內外の離叛し、王師の漸逼せるを以て、歲旦に群臣と其の前殿にて朝ぜるに、淒然と流涕せば、群臣は皆な泣く。時に征北の姚恢は安定の鎮戶三萬八千を率い、室宇を焚燒し、車を以て方陣を為し、北雍州より長安に趣き、大都督、建義大將軍を自稱し、州郡に移檄し、君側の惡を除かんと欲す。揚威の姜紀は眾を率い之に奔ず。建節の彭完都は恢の將に至らんとせるを聞き、陰密を棄て、長安に奔還す。恢の新支に至れるに、姜紀は恢に說きて曰く:「國家の重將は東に在り、京師は空虛なれば、公は輕兵にて徑ちに襲うべし。事は必ずや克されん」と。恢は從わず、乃ち南に郿城を攻む。


(晋書119-17_衰亡)

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