姚泓14 劉裕侵攻6   

いろいろ言われている姚懿よういだが、

まぁ、やはりよろしい人品ではなかった、

とされている。

いやこの局面であくまで国に尽くす、

なんて普通できないとは思いますがね。


そんな姚懿であったから、

クソな部下の言葉にあっさり揺らいだ。

いやこの局面でry


副官の孫暢そんちゅうは言葉巧みに取り入って

姚懿に道を踏み外させ、

災い、騒乱を招き入れようとした。

いや赫連勃勃かくれんぼつぼつ辺りの内応策じゃないの?


ツッコミはやめます。


ともあれ、孫暢は姚懿に言う。

長安ちょうあんを襲って姚紹ようしょうを殺す。

その上で姚泓ようおうを廃位し、自立せよ、と。


姚懿、その言葉を採用。

兵を連れて陝津きょうしんに入ると、

後秦こうしん軍が保管していた兵糧を

河北の胡族に分け与えてしまった。

赫連勃勃を始めとした、北辺の異民族らに

恩を売ろう、というふるまいである。


姚懿の配下であった張敞ちょうへい左雅さがは言う。


「姚懿様が任ぜられておりますのは、

 しゅうの武王が周公旦しゅうこうたん召公奭しょうこうせきに任じたのと

 同等ではございませんか!

 ならば存亡も、また国に等しきもの!


 前漢ぜんかん呉楚七国ごそしちこくの乱が起こったとき、

 助けたのは景帝けいていの弟、劉武りゅうぶ様でした!


 そして今、かの時と同じく

 が国内深くに攻め寄せ、四州を失陥!

 しかも西方では南北涼なんぼくりょう西秦せいしん

 そして何よりも、赫連勃勃が

 我が物顔で闊歩する有様!


 我らと朝廷とは、同じ巣におさまる

 卵のようなものではございませんか!

 鷹や蛇が、どうして一つの卵のみで

 満ち足りるとお思いですか!

 ならば今こそがお国のために

 尽くさねばならぬ時でありましょう!


 だと言うのに、姚懿様は

 お国の基とも言える糧秣を

 ばらまいてしまわれた!


 このような振る舞い、陛下に対し、

 どう申し開きをされるのですか!」


姚懿はこの発言に怒り、

二人をむち打ちに処し、殺した。




姚懿嶮薄,惑於信受,其司馬孫暢奸巧傾佞,好亂樂禍,勸懿襲長安,誅姚紹,廢泓自立。懿納之,乃引兵至陝津,散谷以賜河北夷夏,欲虛損國儲,招引和戎諸羌,樹已私惠。懿左常侍張敞、侍郎左雅固諫懿曰:「殿下以母弟之親,居分陝之重,安危休戚,與國共之。漢有七國之難,實賴梁王。今吳寇內侵,四州傾沒,西虜擾邊,秦、涼覆敗,朝廷之危有同累卵,正是諸侯勤王之日。谷者,國之本也,而今散之。若朝廷問殿下者,將何辭以報?」懿怒,笞而殺之。


姚懿は嶮薄にして信受に惑う。其の司馬の孫暢は奸巧傾佞にして、亂を好み禍を樂しまば、懿に長安を襲いて姚紹を誅し、泓を廢し自立せんことを勸む。懿は之を納れ、乃ち兵を引きて陝津に至り、谷を散じ以て河北の夷夏に賜い、國儲を虛損し、和戎諸羌を招引し、私惠を樹已せんと欲す。懿が左常侍の張敞、侍郎の左雅は固く懿を諫めて曰く:「殿は母弟の親なるを以て、分陝の重に居し、休戚として安危し、與に國を之と共とす。漢に七國の難有らば、實に梁王を賴る。今、吳寇の內侵にて四州は傾沒し、西虜は邊を擾し、秦、涼は覆敗す。朝廷の危は累卵と同じうせる有らば、正に是れ諸侯勤王の日たり。谷なるは、國の本なるに、今、之を散ず。若し朝廷の殿下を問うに、將に何ぞの辭を以て報えんか?」と。懿は怒り、笞し之を殺す。


(晋書119-14_衰亡)




どっちかってとこの書かれ方がこええわ。後秦視点で書き過ぎだっつうの。いやまあ後秦の史書に取材してるだろうから当たり前なんですけど。


しかし、もうほっとくと「つらい」しか言えない。

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