26
フリーアナウンサーの千代田穂香は柳田の前に立つと、名刺を差し出し、綺麗な声と綺麗な笑顔で挨拶をした。
それに応えるように柳田も名刺を手渡す。
スラリとしたモデルのような体型の穂香は、ピンヒールを履いていることもあり尚更細く見える。柳田と並ぶと一際際立ち、二人は美男美女で美しく絵になるようだった。
応接ソファーに座り、インタビューが始まる。
一花が遠慮してその場を去ろうとすると、向井に呼び止められた。
「野原さんもここにいていいですよ。」
「いや、でも……。」
「社長のインタビュー、気になるでしょう?」
「そう、ですかね?」
渋る一花に向井は「まあまあ」と一花に椅子を差し出し、自分も隣に座った。
まずは写真撮影から始まり、柳田一人で写すもの、穂香と一緒に写すものと、カメラマンの指示によってどんどん進んでいく。
「……綺麗。」
柳田を目で追いながら思わず口をついて出た言葉に、一花ははっと我に返って口元を押さえた。
「黙っていたらなかなかのイケメンですよね。」
一花が穂香のことではなく柳田のことを指して言ったことに気づいた向井が笑いを堪えながら同調し、一花はわずかに頬を染めた。
「では生い立ちから伺います。どんな子供時代を過ごされたのでしょう?」
録音機材を前に、インタビューが始まり、柳田も穂香も慣れているのか、スムーズに進んでいく。
(社長の子供時代かぁ。昔から俺様だったのかな?)
一花は勝手に想像して、思わず笑いそうになるのを抑えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます