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柳田はひとつため息をつく。
「律儀なやつだな。じゃあ経費で処理しておけよ。」
「……それってダメですよね?」
「じゃあ素直に奢られとけって。」
柳田は一花の頭をポンポンと撫でると、満足そうに笑いながらエレベーターへ乗り込んだ。
「あ、ありがとう……ございます……。」
小さくお礼を言うと、一花も小走りでエレベーターへ乗り込む。
触られた頭が何だかふわふわする。
一花は唇を噛みしめ気持ちを落ち着かせる。
今日は柳田のいろいろな面を見た気がする。
俺様で強引な人としか思っていなかったが、実は野心家で、そして優しく気遣いのできる人だった。
それは一花の心の中で、ほんの少しだけぽわっと明かりが灯るような、そんな些細な出来事だった。
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