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一花の働く高級オフィスビルは、7階から48階までがオフィスゾーンになっており、職場は17階にある。

毎朝出勤するときはエレベーターで17階に上がり、退勤のときもエレベーターで1階に降りる。要するに、この誰もが羨む展望豊かな高級オフィスビルに勤めていても、一花は1階と17階しか行ったことがない。


そもそもオフィスビルと言っているが、実際のところはオフィスの上にはホテルやレストラン、展望台まで兼ね備えた複合ビルであり、どれも気品溢れるラグジュアリーな造りとなっている。


今回のフォーラムは49階のホテルの会場で行われるため、一花はそわそわと落ち着かないでいた。


柳田についてエレベーターへ乗り込むと、外の景色が見えるつくりとなっているため、一花の目の前には都会の街並みが広がる。

初めて17階以上に行くため、景色がどんどんと変わっていくことに目を丸くした。


「どうした?」


「高いです。」


「高所恐怖症か?」


「違います、17階より上の階に初めて来たので興味津々なだけです。」


「だからそわそわしてたのか?」


「……バレてましたか?」


正直に言うと柳田はバカにするでもなく、おかしそうにふんと鼻で笑った。

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