革命終わった空の下

早瀬史田

洞窟

不老不死の前日譚

 深い谷があった。

 死者に呼ばれると噂されるその谷を、魔術師や魔物たちは「幽境」と呼んでいた。

 私は幽境のそばに洞窟を見つけ、そこを棲み家とした。

 旅の最中に受けた蛇の呪によって不老であり不死となった身は、放っておいても朽ちることもない。

 独り静か。

 薬を作り、酒を飲み、本を読み、死者を待つ。

 永遠に。

 そう思っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る