表現のいろんな手法
カクヨムの自主企画や近況ノートを見てると、たまに「ふうん。そんなジャンル(技法)あるんだぁ」と思うことがあります。皆さんよく勉強されてますね。
ブロマンスという言葉を知ったのも、カクヨム。メリーバッドエンドはさすがにエブリで知った。
メリバによく似た意味でビターエンドというのもありますね。メリバは読者の受けとりかたでハッピーエンドとバッドエンドにわかれる話。ビターエンドは基本ハッピーエンドではあるものの、バッドエンドな部分も同時に存在する。ハッピーエンドに至るために大きな犠牲を払うなどの場合だそう。ハッピーエンドだけど切なさが残る終わりとか。
ちなみに僕の話はそれでいくと、ほとんどビターエンドだ。完全に「やったねー! ハッピー!」って終わりかたをするものを、ふだんはあまり書かない。今後、そうなるとしたら、『東堂兄弟の冒険録』はことによると、そうなるかも。とにかく、切ない後味が好きなんですよねぇ。切なさの感じられないラストなんて、謎の肉の入ってないカップラーメンだー! ってほどじゃないんだけど。
つい最近、そういう演出法を新たに二つ知った。一つは自主企画から、一つは近況ノートから。
自主企画から知ったのは、モキュメンタリーというやつです。フィクションをドキュメンタリーのように表現する手法で、擬似を意味するモックとドキュメンタリーをかけあわせた言葉なんだそうだ。
自主企画で応募されてたのは、モキュメンタリーを使ったホラーってことだったので、さっそく企画主さんの作品を読んでみた。
なるほど。テレビ番組とか新聞記事とか、雑誌の記事とか、とにかく記事や音声データなどをつらねてストーリーを進めていく手法。
主役とかが存在しないので、なんとなく物語を外側から見てるもどかしさはあるものの、おもしろい手法ではある。
利点はリアリスティックに描きやすい。新聞記事などがメインなので、文章があるていど硬いため、ほんとに起こったことのように思える。
弱点はやっぱり、物語を誘導する固定のキャラクターがいないので、誰かに肩入れするってことがない。キャラが好きで読み書きする人には、ちょっと物足りない。
ただ、記事っぽい文章が書けないと、たちまち破綻するので、文章力のない人にはできませんね。
むいてるジャンルはやっぱり、ホラーかミステリーでしょうね。それか社会派の現代ドラマ。リアリティを要する話。
企画主さんの作品は記事などをうまく、つなげてストーリーを作ってるなぁと思いました。
僕にできるかと言われれば、たぶん、ムリだなぁ。キャラクターに感情移入して書くので。やるとしたら、誰か一人の手記って形かな。どこまでをドキュメンタリーととらえるかにもよるんですが。個人の手記でよければ、ふつうの一人称もモキュメンタリーってことになりかねないし。さすがにそれは言いすぎだけど、書簡形態の文学ってありますよね。あれとかは、このジャンルに入るのかな?
個人の手記や手紙形式の話は、すでに何回か書いたことが……。
さて、もう一つは、マンデラエフェクト。
いつもコラムっぽい近況を書かれてるかたがいて、毎回、楽しみに読んでるんですが、そこで紹介されてました。
マンデラエフェクト。
南アフリカのネルソン・マンデラが獄中死していたという間違った記憶を持つ人が大勢いたことから、事実とは異なる記憶を集団が持っている事象をさすネットスラングなのだそうだ。
これはまだ、表現法というわけではなく、現象の呼称なんですが、こういうのを作品に活かしても面白いですねという提案でした。
なるほど。たしかに面白そうだなぁ。僕が書くとしたらホラーだろうなぁ。みんなの言うことと、自分の記憶だけが違う恐怖……きょ……清美?
ああーっ! すでにもうやってたー!
八重咲探偵第二部『家守』のなかでの清美がそれですね。家族の言うことが自分の記憶と違う……というシチュエーション。
ただ正確には、マンデラエフェクトは個人ではなく、集団の記憶が事実と異なる場合を言うので、清美の場合は違うかも。でも、似たようなことをすでにやってた。
そして、先日、自主企画を見てたら、シガレットキスの場面がある作品を募集してた。
シガレットキス……あれか?
前に猛と蘭さんがやったやつか?
そう。タバコの先端をひっつけて、相手の火などをもらうなどする行為。同時に息を吸うと相手の呼気を吸入することになるので、間接キスに該当するとかなんとか。
ああ、これもやってるんだよなぁ。
『東堂兄弟の探偵録第一話アントリオンの定理』です。
僕くらい山ほど長編書いてると、たいていのことは、すでにやっちゃってるんですよね。
最近、リブートってのが流行りですね。リメイクとどう違うの? リメイクは読み切り長編などのストーリーを改稿すること。リブートはシリーズ作品のリメイクみたいなもんです。
なんでもやってる僕はリブートもしてるのか?
ああ、してるっちゃしてるかな? ワレスさんの話はシリーズ通して一回ゴッソリ手直ししたことが。かなりの大改造をしたので、そう言えなくもない。なにぶん、いなかったはずの親友を一人、物語の最初からねじこまないといけなくなったので。
ついでに昨日、リ・イマジネーションという言葉を知りました。妙にカッコいいですね。なんぞや? それは?
これはですね。リメイクよりもっと激しく改造することですね。原作の基本設定のみを抽出し、作品じたいはまったくの新作として書くような場合を言うんだそう。
あっ、これも僕はやってるぞ! じつは八重咲探偵の第一部と第四部は、過去に書いたまったく別の読み切り作品から、あらすじだけ再利用しました。ていうか、あまりにも過去すぎて、あらすじそのままを使うこともできないほどヘタクソだったので、プロットも、ほぼほぼ作りなおしたんですが、それでも僕のなかでは過去作の再構築だったので、リ・イマジネーションと言える。
まだまだ、いろんな手法があるんでしょうね。面白い手法を見つけたら、それを使って習作してみると楽しいかもしれません。技法の練習にもなりますし。
そろそろ書くことがなくなってきたので、今回の連載はここまで。とりあえず完結にしときます。また気がむいたら書きますね。
ではまた会う日まで〜
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