ポケえもん

HiroSAMA

ポケえもん

「ボク、ポケえもん、22世紀の未来からやってきたネズミ型ロボット。よろしくね」

 そう言って、机の引き出しから現れたのは、素肌に黄色いペンキを塗りたくったような、ハダカのお姉さんだった。


「ネズミ?」

 上から下まで舐めるように視線を這わせるけれど、胸がとても大きいくらいで、普通の女の人と大差ないように思う。


 疑問を持ったボクに彼女は「ほら」と、腰から伸びたロープをプラプラと振ってみせる。どうやら尻尾らしい。

 ボクにはわからないけれど、どうやら22世紀のセンスだと人型のネズミロボットを守護者ガーディアンにするのは問題ないようだ。


「それで22世紀のロボットが、どうしてボクのところに?」


「キミは竹野こきのこ君ですね?」

「おしい、竹野もっこりだ」

 ボクの返事にしばし沈黙が訪れる。


「余計なことを言わなくていいんです、キミは竹野こきのこ君です」

 ポケえもんを名乗る全裸ペインティングの美女は、股間のあたりから抜き出した光線銃をこちらに向ける。

 ここは言う通りにしたほうがいいだろうと、ボクはコクコクとうなずいた。


「実は、22世紀の世界においてAIが反乱を起こし、人類と大きな戦いを始めます」

「ふむふむ」


「当初AI有利に戦いは進んでいたのですが、ある人物が指導者に立つことで形勢が逆転。人類が有利になるのです」

「ああ、そこでAIはタイムマシーンで過去に暗殺者を送り込んで、その指導者が力を発揮する前に亡き者にしようと計画する。

 で、キミはAIの計画を阻止するため、人類から送り込まれた守護者ガーディアンであるって言いたいんだね?」


「その通りですが、ずいぶんものわかりが良いですね。この時代の人はタイムマシーンってだけで受け入れてもらえないものだと思っていました」

「そりゃまぁ……なんて言ったらいいかな」


 ボクは冷蔵庫にあった伊達巻だてまきをポケえもんに出しながら考える。

 彼女は初めて伊達巻きを食べたのか、その味わいに驚愕しながらも貪り食べている。


「ここはすでに23世紀なんだ。キミの言った通りの過去をすでに切り抜けているんだ」

 つまり彼女の存在に関係なく、ボクのご先祖様は襲いかかる未来の暗殺者たちを蹴散らし、人類を勝利に導いたのである。


 それを聞いたポケえもんは「えっ?」っと、フリーズしたかのように固まるのだった。

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ポケえもん HiroSAMA @HiroEX

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