2話 もしボクが持っていても


 サンタさんになるには、どうしたらいいだろう。




 サンタさんはふわふわのおヒゲを持っている。

 お顔が半分隠れちゃうくらいたくさんで、あったかそうなんだ。真っ白で長い、まるで雪で作った毛布みたい。すっぽり隠れたお口で「ほ、ほ、ほ」って笑うよ。


 でも困った。

 もしボクがふわふわのおヒゲを持っていても、大好きなショートケーキを食べるときにどうしたらいいかわからない。クリームがおヒゲについたら、どこまでがクリームでどこまでがおヒゲなのか、混ぜこぜになってしまう。




 サンタさんは魔法の煙突を持っている。

 魔法の煙突をお家の屋根に乗せると、不思議とその部分だけ天井がなくなって、お部屋の中が見えるんだ。あとはエイヤッて煙突に飛び込めばいい。


 でも困った。

 もしボクが魔法の煙突を持っていても、ボクは高いところが苦手なんだ。長い長いすべり台だって苦手なんだ。屋根からお部屋に飛び込むなんて、怖くって出来そうもない。




 サンタさんはプレゼントの種を持っている。

 みんなからのお手紙を読んだら、種を植えて、欲しいものを育てるんだ。クリスマスの頃には大きく大きく育って、いろんなプレゼントの実が出来る。それをさらに大きな袋へ詰めていくんだ。


 でも困った。

 もしボクがプレゼントの種を持っていても、プレゼントを育てるお庭がない。お庭にはママのお花がいっぱいだ。プレゼントはすごく大きく育つから、お花とケンカしちゃうかもしれない。




 困った。

 ボクはサンタさんになれない。

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