いつかサンタさんになる日

藤咲 沙久

1話 12月のひらめき


「パパとママは、サンタさんにどんなプレゼントをお願いするの?」

 パパは大きな口をあけて笑った。ママはボクの頭を撫でてくれた。

「サンタさんはね、大人のところには来てくれないんだよ。子供だけの特別なんだ」

 私たちも小さい頃はサンタさんから贈り物をもらったのよ、とママは教えてくれた。サンタさんはウチまで来てくれる。それなら二人にも、何かプレゼントを持ってきてくれたらいいのに。


 ボクには欲しいものがたくさんある。

 緑レンジャーのお人形。

 ちっちゃなパトカー。

 キラキラ光る折り紙。

 みんなが持ってるのと同じゲーム。

 でもサンタさんがくれるのはひとつだけだけ。すごくすごく迷っちゃう。友達のユキちゃんに折ってあげたいから、折り紙がいいかなぁって思うんだけど。


 ボクには知ってることがたくさんある。

 パパはお歌が好きで、新しいギターが欲しいんだ。

 ママはお花が好きで、春にチューリップを育てたいんだ。

 二人にだって欲しいものがあるんだから、きっとサンタさんが来てくれたら嬉しいはずだよね。もしボクがサンタさんならパパたちにもプレゼントをあげるのにさ。


 そうだ。ボクがサンタさんになればいいんだ!

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