続・マンドラゴラ料理大全
あきかん
至高の農作物。その名をマンドラゴラという。
マンドラゴラが一般に流通してから数十年がたつ。しかし、その知名度とは裏腹にマンドラゴラが食卓に上がることはまずない。理由は1つ。不味いからだ。
この煮ても焼いても食べられない食材は至高の農作物とも呼ばれている。
まず、栄養価が非常に高い。高麗人参百本分とも言われている。マンドラゴラさえ食べていれば天寿を全うできるとも唄われるこの食材であるが、良薬口に苦し、のことわざの通り大変不味い。生で食べれば灰汁が強く、焼いてみれば野糞で鼻栓をした方がましと言われるほどの悪臭を放つ。煮ると灰汁が大量に出て、肝心のマンドラゴラはすかすかの残骸へと変わりはてる。ある程度の調理の腕がなければ料理の形にすらならない。まあ、形になったとしてもとても不味いのだが。何人もの料理人がこの食材に挑み破れ去った。
マンドラゴラが不味いのには理由がある。マンドラゴラには独自の旨味成分があり、それが人間にとっては不味く感じるのだ。故に、煮ても焼いても不味くなる。旨味成分とは名ばかりのそれをマンドラゴラ酸と言う。これが万病にも効くとも語られる程の効能がある。この成分を抽出し点滴、注射、治療薬に使われる。
しかし、私はこれが勿体ないと思う。どうにかしてマンドラゴラを調理したい。これから語るのは、私の無謀な挑戦の歴史である。
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