第40話◆◆⑰ロベルトの依頼◆◆

「つまり不味い米しか食えないのは、航路を塞ぐ海賊のせいだと言うのか?」


「その通りだよ、ガンゾウさん。」


翌日の昼前、ロベルトが宿を訪れて、昨日話そびれた話をしていた。


本当なら昨日のうちにデュラデムに向かって出発しているはずだった。


だが、宴が始まってしまい、また宿を取ることになったのだな。


「ふむ▪▪▪」


ロベルトが言いたいのは、俺達にその海賊を退治してほしいって事だろうな。


「そうなんだよ。ダメかい?」


「ああ、声に出てたか?」


「はい!スッキリしっかり明確に出ておりました。」


ウラジミールをブッ飛ばすのにも飽きてきたな。


というより、慣れたのか?


「まあ、ディートヘルムをヘリオスに預けに行かなきゃならんが、期限がある訳じゃないがな▪▪▪」


「じゃあ受けてくれるかい?」


「ダメだな。」


喜びかけて腰を折られたな。


「何でだい?」


ロベルトは必死に食い下がる。


余程海賊の被害が大きいのだろうな。


確かに、港にはもう何ヵ月も係留されたままの船が何隻も連なっていたからな。


あれじゃぁ商売にならんな。


「だろう?軍船さえも沈められたんだ、後はガンゾウさんのような超常な力に頼るしか無いんだよ。

海賊の奴らも何やら妖しげな力を使うって言う話も聞くし▪▪▪」


「俺は賞金稼ぎだ。依頼したきゃギルドに頼みな。もっとも、ヘリオスの所からじゃなきゃ受けないがな。」


「ではこうしたら如何でしょうか?」


ん?ウラジミール?何か余計なことを言い出すのか?



「いえいえ、ご主人様は美味い「米」を食べたいのでしょう?そのためには東の国から輸入するのが手っ取り早そうです。

だとすれば、海賊は「共通の敵」でこざいますよね?

後は依頼の筋を整えれば良いのでしょう?ならば、後追いですが、ここのギルドに依頼を掛けてもらい、そこからヘリオス様の所に依頼を掛けて頂ければよろしいかと?」


ジロリとウラジミールを見た。


額に気持ち悪い冷や汗を垂らしているな。


やっちまったと思っているのだろうな。


「それでいい。」


大きな溜め息だな、ウラジミール。


「ディートヘルム、と言うわけだ、ワッチナルさんのご意向にはまだ沿えないな。」


「はい、仕方有りません。ですが、陛下の御意向は、死にたがりの私をガンゾウ殿に預ける事なのだと理解しております。ガンゾウ殿にはご面倒をお掛けしますが、同行させて頂ければ陛下も心穏やかであると思われます。」


「もう、面倒ね!もう良いじゃない!アンタもこのパーティーの一員になったと言うことよ!」


「そうね、クリスタの言う通りよ、そのバカデカイ剣で私を守ってね?」


と、女二人▪▪▪


特にフロリネ?


お前は何時から仲間になったんだ?


「全くでございますねご主人様。あのデカ尻は邪魔で仕方有りません。」


と言うウラジミールにフロリネは矢を射るが、ウラジミールがヒラヒラと交わす。


尻を向けてフリフリと挑発する程に反射神経の性能が上がったようだな。


まあ、ほどほどにしとけ。


こうして俺達は、予定を変更して海賊退治に出掛けることになった。


「ああ、フロリネ?」


「なに?」


ウラジミールに矢を射続け、肩で息をしながら振り返った。


「付いてくるのは構わんが、船だぞ?ゲロ吐いたら自分で始末しろよ。」


ゲンナリとした顔は、多少美形だった顔立ちを不細工にするな。


などと考えるのに0.0003秒、いや、測ってないからわからんな。

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