第37話◆◆◆⑭宴◆◆◆

港で一騒ぎ有った。


何がって?


そりゃ5mもの巨大マグロなんて見たことある奴など居なかった訳だからな。


クリスタの氷は、呪を掛けると熔けない。

そこは、港に到着するまでに良い具合に熔けるようにコントロールさせた。


面倒くさそうにしてたが、いろんなマグロ料理を教えて「美味いぞ!美味いぞ!」とやったら嬉々として氷をコントロールし始めた。


曳航する途中で血の匂いに鮫みたいなのが群がってきたが、これもクリスタに空中からブリザードブレスを絞った氷の槍で退治させた。


港に到着して、大騒ぎのなか、俺は一人でマグロを引き上げ、手早く解体していった。


傷まないように、クリスタに氷の箱を作らせ、サクにしたマグロを並べていった。


「おい?この港の責任者は居るか?私はディートヘルム、このマグロを皆で食したいのだが、場所の提供と料理人の手配を頼みたい。」


「おう!宴だぞ!こじんまりとした場所じゃダメだ!町の奴ら全員食いに来い!酒も葉巻も用意しろ!これは代金だ!」


そう言って俺は空間呪から取り出した革袋をディートヘルムに放った。


巨漢のディートヘルムでも受け取った際、その重さで取り落としそうになった。


更に中を見て驚いた。


「ガンゾウ殿!これでは多すぎる!」


「良いんだ!それで集められるだけの酒と葉巻!あとこの地の名物を食わせろ!残すな!全部使え!」


気前が良いことだ。


何せ死ねない俺の唯一の楽しみだ。

金で買えるならいくらでも出してやる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る