イブの夜に・・・

ハル

第1話 一通のメール

「好きです!付き合って下さいっ!」

「悪い、俺彼女いるんだ。お前の気持ち薄々気付いていたけど、彼女裏切る事は出来ないから」

「…そうだったんだ…分かった…」




ある日の事 ――――



「俺と付き合って下さいっ!」

「えっ?」



≪この際、付き合ってみるかな?≫



「良いけど…」




私は彼と付き合う事にした。




「今年のイヴ一緒に過ごそう」

「うん、良いよ」




私達は一緒に過ごす約束をした。




でも ―――――




『悪い急用が入った。別の形で埋め合わせする』




そういうメールが彼からメールが入ってきた。


ただ、プレゼントを渡したかったのもあり私は彼の家に足を運ぶ。




「……あっ!……」



彼氏と私の同時の声。




「…急用って…そういう事?」



彼の隣には、女の子の姿。




「プレゼント…その日に渡したかったから…私が持っていても意味ないからと思って……いらないなら処分して構わないから…」



そう言うと私は二人の前から去った。





軽い気持ちで付き合った罰?


でも心の何処か


彼の存在は大きかった


だって


頬を伝う涙が


真実を物語っている


涙は人を愛せた証拠だという言葉だから………





♪~




『受信アリ』



私の携帯にショートメールが届いた。


私は目を通す。





『天使が舞い降りる聖夜の夜』

『君には奇跡が起きてる?』

『その瞬間(とき)の君は幸せ? RUI』




ドキン

見慣れないメールアドレスと名前。


私は軽い気持ちでメールを返信した。




♪~



『奇跡が起きるなら私に幸せを運んで下さい』

『もし、あなたが、天使なら小さな幸せ運んで来て下さい』


『今の私に幸せなんて言葉は似合わない』

『だって…このメールが受信された今、その瞬間(とき)私は幸せじゃないのだから…』





天月 智華(てんつき ともか)。16歳。


このメールを機に


一つの幸せが運ばれた








それから一ヶ月が過ぎたある日の事だった。




「今日からこのクラスに転入してきた邑木 留唯(ゆうき るい)君だ」




ドキン



≪るい? メールの人も確か…≫




あれから、彼、RUI 君とメールのやり取りを続けている。


フルネームは内緒で、RUI という名前だけを利用し私にメールをしてくれている。


あのイブの夜もメールのやり取りをしていたのだった。




そして、そんなメールの彼とは別に転入生の存在はそこそこモテモテだった。


無邪気で優しい、何処か天然混じりの彼だけど………






それから数カ月が過ぎ、高2になった私。



ある日の午後の休み時間。





「あの…このクラスに邑木先輩いらっしゃいますか?」


「あっ、うんいるよ。ちょっと待って。邑木君」

「何?」

「廊下で人が呼んでる」



邑木君は彼女の元に行く。





「何?」

「あの…これ…読んで下さい…私の精一杯の想いです」


「分かった。読んでおくよ」

「お願いします」




彼女は去って行く。




その日の夜。




「あれ?お兄ちゃん?」

「よー、智華、元気そうだな?」

「お陰様で」




私の兄、天月 創司(そうし)。25歳。


一人暮らししているはずの兄が戻って来てる。




「どうしたの?今日は」

「あー、せっかくだし、お前もそこ座れよ」




私達4人は久しぶりにテーブルを囲む。



「俺、結婚しようと考えている人がいるんだ。近々、紹介したいと思っている。今度の日曜日、連れて来たいけど…都合どう?」



「構わんが」

「ええ、良いわよ」

「そうか。じゃあ彼女に早速話しておくよ。それじゃ俺この後用事あるから今度な。じゃあな智華」




私の頭をポンとして帰って行くお兄ちゃん。


後を追う私。




「お兄ちゃん…」

「どうした?」

「本当に…結婚…」

「ああ。もう25だし、そろそろかなぁ~って」



「…………」



「そんな顔すんなよ。まあ、俺の後、良くついてまわってたからなぁ~お前。あっ!そうそう。お前と同級生の弟がいるんだそうだ」


「弟?」


「ああ」


「そうか…」


「まあいつか会わせるよ」

「…うん…」



お兄ちゃんは帰って行った。











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