俺……実は最強でした!?系の主人公が、売られた街で無双しまくり平穏な日々を謳う話。 ~召喚された最弱は知識とスキルで英雄をも凌駕す~
ノノ
第1話
ガタン、ゴトン……と、電車は揺れ動き、俺もその動きに身を任せ、左、右と揺れ動く。
……チラリ、今日は青か……。
――――俺、
彼女の名前は
「はぁ……」
そんな彼女に、俺は人知れず恋心を抱いている。
しかしそんなものを相談できる友人は滅多におらず、まさに人間恐怖症、コミュ障、疑心暗鬼。俺はここで彼女を目で追うことしかできないのだ。
「……ちょっとあんた」
「……はい?」
話しかけてきたのは、ずっと隣で立っていた40ぐらいのパンチパーマおばちゃん。
「さっきから息かかってんのよ、まさかわざとじゃないでしょうね……!」
「な……へぇ……!?」
「まさか、新手の痴漢!?ちょっと!乗務員さーん!」
「え、違いますよ!大体、誰がおばさんなんかに……」
「な……!」
「へ……?」
「誰がおばさんですって!まだ今年で25よ!」
「な、はぁぁぁぁ?!」
うっそだろおい!この顔と20代ってマジかよ!……って、いや、それどころじゃない。思わず俺のコミュ障が発動して口が滑ってしまった。
しかし、時すでに遅し。自称25のおばさんは激おこで乗務員を呼べと騒ぎ立てている。
終わった!俺の人生終了!このまま痴漢の汚名をつけられたまま生きていくだなんて耐えられない!おっかさんごめんよ!
「ちょっと待ってください!」
「な、今度は誰よ!」
そう振り向いた先に立っていたのは……天使、いや……ほかならぬ希さんだった。
「佐々木くんはそんなことをするような人じゃありません!」
「佐々木くん……?佐々木って、こいつのこと?」
そういっておばさんは俺を指さす。
そうだよ、俺だよ。佐々木雄太だよ。にしても、希さんは俺の名前を覚えていてくれたのか……やっぱ天使……!
「はい!佐々木くんはそんなエッチぃ人じゃありません!確かに挙動不審でたまに変なこと言う人だけど……」
一言二言余計です、希さん……。
「でも、そんなことをする人では断じてありません!」
そうハッキリと言い切った希さんに、「ぐぅ……」と押し黙るおばさん。
「……分かったわよ、悪かったわね」
最後にそう捨て台詞を吐くと、別の車両へと移っていった。
「……大丈夫ですか?佐々木くん」
「あ……う……あ……」
ダメだ!緊張して、肝心なところで人間恐怖症発動しちまってる!
「……ふふ、大丈夫ですよ、落ち着いて下さい」
「……あぁ、あありが……とう……」
希さん……やっぱ天使!
「でも、違うなら違うってハッキリ言わないとダメですよ?」
「……言ったんですけどね……はは……やっぱり、あれは希さんにしかできないよ」
「?……そんなこと……ないですよ?」
「いや、やっぱ希さんにしかできない。俺が言ったって駄目だったし、やっぱ人間力?っていうのかな、そういうオーラみたいな……気迫みたいなのがあるんだよ、だから俺みたいな底辺は何やってもダメだし、希さんは何でもできるんだよ……」
あぁ、ダメだ。また余計なこと言ってる。
「ふふ……大丈夫ですよ、佐々木くんだって、やればできます!」
――――希さん、やっぱ天使!あぁ、叶うことなら……このまま二人っきりにでもなれればいいのに……!
「……!」
「キャ!」
刹那、希さんの体が俺にのしかかってくる。
今度は俺が何をしたわけでもない。電車が……大きく揺れたのだ。まさか、転倒でもしたのか?
「……え?!」
体の隙間から横を見てみると、なんと隣にあったはずの車両がすっぱりと無くなっている。他の乗客もそれに気が付いたのか、てんやわんや、大騒ぎだ。
「……おい!アレ見てみろよ!」
一人の乗客が指さした方向には、大きな建物と大きな……トカゲ……?いや、あれは……
「ドラ……ゴン……?!」
そんなバカな、そんなのゲームやラノベでしか見たことないぞ!まさか本当に……?
「異世界へようこそ!英雄様はいらっしゃいますか?」
その時、幼い少女の声が聞こえた。
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