第90話ドリンキングバード、

因みに治療費などは労働者災害補償保険法にて全額負担してくれているし、スーパーのお偉いさん達が店長と共に謝罪とお見舞いに来てくれ、高そうな菓子折りもいっぱい貰えた私からすればこのスーパーないし店長もある意味で地雷社員の被害者であると思っている為そこまで下手に出られると逆に申し訳なく思ってしまう。


そんな感じでお互いにドリンキングバードの様に頭を下げながら謝罪と謝罪する必要は無いという攻防を繰り広げていく。


そして気が付けばお互いに笑い合い、この攻防は終了である。


なんだか私も店長も日本人らしいなと思ってしまう。


因みに店長曰く今回の件で上へかなり進言したみたいで、今回の件もある為もうこの店には左遷する様な事は無いとの事だそうで、安心してこれから少なくとも左遷される人に怯える心配は無くなったみたいである。


その点に関しては社員の姥捨て山の様な扱いに以前からストレスと怒りが積もっており爆発寸前であったという店長からかなり感謝され、両手いっぱいのお菓子も頂いた。


このお菓子の量には真奈美も大喜びであろうが、お菓子があるのが当たり前だと思われてもこまるのでどうやって与えて行こうかと今から地味に頭を悩ます種にもなったのだが、これは嬉しい悲鳴という奴なので悩みの種になったからと言って店長を責めるつもりもない。


そして店長は今回の件で昇進し、来月から東日本のエリアマネージャーとなるらしく給料も今の倍へ跳ね上がるそうだ。


どう考えても本部からの『これで今回の件は許してね』という思考が透けて見えるのだが、店長曰く貰えるものはもらっておくとの事。


代わりに新しい店長として真面目社員君、そして新たに新入社員として先輩おばさんをそのまま正社員として雇い入れ真面目社員君の補佐役に回す事が決定しているみたいである。


店長に会えなくなるのはそれはそれで寂しくはあるものの月に最低一回は顔を見せるらしいので寂しくなると言っても少しだけである。


そして店長から『休業補償給付』の手続きを済ませる為に、シフトの話となる。


とりあえず私は出来るだけ出勤したいという事で、シフトは給料の平均賃金の六十パーセント以上を超えてしまうと補償は使えないらしく、そこを超えないように調整する事で話し合いは終わる。


むしろ結局今の私では長時間労働が出来ないので後から言った言ってないとならない為の細かな部分のすり合わせの意味合いが大きい。


兎にも角にも今の私にとってはかなり有難い話である。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る