第70話おやつはメロンパン


そして真奈美はご当地ラーメンをぺろりと平らげ(ネギだけは綺麗に漉し取られている)、ご満悦の様でお子様プレートはもうお腹いっぱいで食べないらいく「ままの。これままの」とお子様ランチを進めて来る。


そうして進められたお子様プレートの内容は小さな俵型のおにぎりに海苔にふりかけがかかっている物が三つピラミッド型に置かれ、その上に日の丸の国旗が描かれた旗が刺さっている物にケチャップのスパゲッティ、たこさんウィンナーにミートボール、エビフライにサラダである。


デザートにプリンとオレンジジュースがあったのだがそれらは既に真奈美に食べれている。


そんな、久しぶりに食べるお子様ランチは今の凝った複雑な味わいではなく昔ながらのシンプルな味付けで、それはそれで美味しいと懐かしい味に舌鼓を打つのであった。





遊園地で遊んできた翌日、私は筋肉痛となった両の足に鞭を打って真奈美を自転車で保育園まで送って行った後、そのままパート先のスーパーまで直接向い出勤すると、既に小太りマダムが来ておりタイムカードを押す時間まで休憩室でまったりとしている姿が見えた。


「いつも早いですね」

「もう、早く仕事をしたいという衝動が抑えられないんですの」


そう言いながら笑う小太りマダムは気持ち痩せていっている様に見えるのは気のせいであろうか?


「それにここで働かせて頂くようになって少し痩せて行っている様な気も致しますしわたくしにとっては夢の様な場所なのですわ」


そしてそれは小太りマダムも思っていた事らしく俄然気になって来るのだが、その事は脇に置いておいて昨日の遊園地のお土産を取り出す。


こんな安っぽいと言えば聞こえは悪いのだが普段から高級菓子を食べていそうな小太りマダムは私のお土産を食べてくれるのかと少しだけドキドキしてくる。


「あ、これ良かったら皆さんで食べて貰う用に買ってきたお土産ですので良ければどうぞ。無理にとは言いませんので────」

「あらっ!焼き菓子ですのねっ!わたくし、ここで働くようになって甘いお菓子のおやつは久しぶりですわっ!なんで今まで忘れていたのかしら?もちろん見たからには有難く頂きましてよっ!」

「因みに何ですけれども、いままでのおやつは何を?」

「以前までのおやつはメロンパンですわっ!でも今では鳥肉の美味しさに目覚めてからは鳥料理をおやつに食べておりますの。胸肉を蒸した料理に今ハマっておりましてよ。意外と柔らかく仕上げるのは難しいのですけれどもだからこそ上手くできた時の喜びと感動はひとしおですし、何よりも自分で作った料理というだけで何故だか物凄く美味しく感じてしまいますものね」

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