第69話誰でも無い私ではないか

その事を元夫に質問してみると「お子様ランチプレートセットもあるんだからぶっちゃけ作り手は何も考えて無いだろ。先に子供向けの料理を考えて出来た物の見た目で決めてんじゃねぇの?」と話を続けるのでは無く終わらせてしまう。


離婚する前はこの様に答えを求めていない会話がしたいのにバッサリと終わらせてしまうのが好きではなかった。


でも今思えば旦那は意地悪でそう言っているのではなく、自分の経験から来る答えを出してくれているのだ。


こんな、答えを出した所で何も意味をなさない事なのに私が「何で?」と聞いたから答えてくれていたのだ。


もし本当に会話をするつもりがないのであればこんなどうでも良い事など「どっちでも良いだろそんな事」と返すだろう。


思えば私は自分の事は見て欲しいと思うばっかりで元夫の事は見ていなかったのだと痛感させられる。


「あー、なるほど。その考えが正解っぽいわね」

「案外、世の中なんて何も考えてない事柄は多いのかもしれないな」

「逆に考え過ぎて結果訳分からなくてなってるパターンも多そう」

「何が当たるか分からない世の中だしな」


そしてこの様に答えを言われたから終わりでは無い、言われた答えからまた新しい話題へと繋げて行けば良かったのだ。


会話をしたいのに会話をしようとしなかったのは誰でも無い私ではないか。


相手をしてくれないと拗ね、最終的に寂しかったのだと良くぞ言えたもんだと今なら思う。


あの頃の私はきっと自分中心で世の中は回っていると勘違いしていたのであろう。


そして、そんなこんなで元夫と会話をしながら待っておると電子音のアラームとバイブの振動の音が、私達が注文した物が出来たと鳴り響くので真奈美と三人でラーメンを取りに行き、ついでに真奈美用の子供用フォークと取皿を貰った所で今度は真奈美の料理であるお子様プレートが出来た事を知らせるアラームが鳴るのでそのまま真奈美の分も持って席へと戻る。


因みにラーメンと取皿は元夫がトレイで一気に運んでくれた。


そして食べるラーメンは、一日中歩き回り疲労が溜まり塩分を欲していた私の体には物凄く染み込んで行く。


このご当地ラーメンはその県名産らしいブランド豚で作った大きなチャーシューが頓挫している濃いめの甘辛い醤油味なのだが、そのラーメンが美味しいと言うよりかは塩味が美味しいと感じてしまう。


塩味が美味しいと感じてしまうのは学生時代部活でくたくたになっていた頃依頼ではなかろうか。


「ちゅるちゅるめんめっ!!」


それは真奈美も同じだったらしく、最早お子様プレートよりも私のラーメンの方にご執心である。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る