第44話子供が石を投げたくらいで

「あ、あなっ、貴女……私の事を豚っ、豚と言ったわねっ!?」


そして小太りマダムはまさか私が言い返して来るとは思っていなかったのか反撃されただけでテンパっているのが見て取れる。


恐らく反撃を食らった経験など殆ど無かったのかも知れない。


しかしながらだからこそ怒りで見る見る顔が真っ赤に変わっていき、湯気が出ていてもおかしくない程真っ赤となる。


「だってそうでしょう?」


そして今度は私の方が小太りマダムを見下す様にその全身を見つめてやる。


「ぐぎぎぎっ!覚えておきなさいよ?名誉毀損による慰謝料とわたくしの坊ちゃんの治療費で高額なお金を後日請求させて頂きますから」


怒り爆破と言った小太りマダムなのだが、私のペースに呑まれている事に気付き冷静さを取り戻すとすかさず金銭面で反撃をしてくる。


しかしながらやはり頭はそこまでよろしくないみたいである。


「どうぞご勝手に。ただ名誉毀損にはなりませんけどね」

「馬鹿なのかしら貴女はっ!先程わたくしの事を豚だなんだと罵っていたじゃないのっ!?」

「だから?」

「だから豚って───」

「事実である事を証明出来る場合は名誉毀損には該当しませんが?馬鹿でも分かりやすく噛み砕いて教えてあげあげますけれども名誉毀損は嘘をついて相手に実害を与えた場合に適用されるものです」


そして私は再度、小太りマダムの爪先から頭の天辺まで見下す様に今一度見つめ返す。


「貴女が痩せていれば名誉毀損で訴えれたのかもしれませんね」


当然ながら侮辱罪は通用する事は教えない。


「では、私は脅迫罪と名誉毀損で訴えさせて頂きますね。それと、今回の件は子供のした事だという事でお互い喧嘩両成敗で終わらそうと思っておりましたが貴女のお子さんが私の娘に石を投げられた事は民事で争わせて頂きましょうか」


そして私はすかさず相手に対して口撃していく。


考えさせる時間を与える程私は優しくは無い。


詐欺が相手を騙す時に良く使われる技法だろうと使える物は何だって使ってやる。


話し合いを放棄したのは向こうが先だ。


出し惜しみなどしない、初めから全力である。


「へ?あっ、どうして脅迫罪が出てきますのよっ!?そもそも何で貴女は名誉毀損で訴える事ができますのよっ!?と、言いますか子供は少年法で守られておりますのよっ!?そんな事も分からないのかしらっ!?」

「先程私に対してできもしないのに名誉毀損で訴えると脅迫して来ましたよね?そして私や私の夫が貧乏人だと嘘をつきましたね?もしこの言葉を聞いた他の方が周りに広め、実際に損益が出た場合は覚悟していて下さい。それと少年法は罪に問わないだけで民事は別です。貴女の息子さんから石を投げた証言と目撃者も多数いますので証拠を揃える必要もないでしょう」

「こ、子供が石を投げたくらいで………」

「くらいで?今貴女、石を投げたくらいでと言いましたか?」

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