第31話俺の目が腐っていただけのようだ

「あ、高城先輩今いやらしい事を考えてたでしょう?むふふー。私そういうのには敏感なんですからね?可愛い後輩の胸が肘に当たって高城先輩の高城先輩もムクムクっと来ちゃってるんじゃないんですか?」


どうやら一瞬でもこいつの事を可愛いだなんて思った俺の目が腐っていただけのようだ。


化けの皮一枚剥がせばなんて事はない、中身はただのエロ親父だ。


「しかし相変わらず下ネタが酷いな。そもそもお前に俺を興奮させるだけの胸何かどこにあるんだ?洗濯板なら肘には当たってはいるけれども」

「セクハラっ!高城先輩それ流石にセクハラですよっ!」


どっちがセクハラなんだか。


そんなうるさい後輩を連れて行きつけの居酒屋とりはちへと向かう。


この店はもう通い始めて五年もする店であり店主ともプライベートで絡む様になる程通い詰めている。


「へいらっしゃいっ!フータって、珍しく可愛い女の子連れてきてんじゃないかっ!?もしかしてフータの新しいコレか?」


そう言って店主は左手で右手を隠す素振りをして右手小指を立てて見せる。


隠してる風にはしているが、全く隠れていないのだが。


「違いますよ店主。コレはただの会社の後輩ですよ」

「そうなんですよっ!実は私は高城先輩のコレなんですよっ!!」

「あ、やっぱり?大の大人の男女二人で居酒屋に来る意味を分からない様な子供じゃないもんな。もう良い年しだしなぁ」

「あぁもうそういうの良いからっ!早く席に座れっ」


そして二人は当然の様に俺を無視して喋り出すので後輩の首根っこをおさえて強引に奥の個室へと打ち込む。


当然、女性が二人で飲みに誘う意味がどういう意味を持っているのか分からない俺ではない。


もし、そういう意味を持っていないと言うのであればそれはそういう経験がなさ過ぎるか危機管理がなさ過ぎるかのどちらかである。


ともかく後輩がそういう美人局一歩手前の様な女性では無い事くらいは流石に理解しているし、その後輩から二人で飲みに誘われる意味も、当然理解している。


そう、理解しているし、同じく理解されているだろう。


「とりあえずハイボールとタコの唐揚げに厚焼き玉に枝豆」

「私は生ビールで」


そして引き際を知っている後輩と店主はここで引くべきであると俺を揶揄うのを辞める。


それにしてもこんなに嬉しそうな後輩は初めて見るかもしれない。


「ハイボールに、はい、生ビール。それと枝豆」


そして店主がささっと酒と枝豆を持って来るのだが、何故か後輩の方にはミックスナッツまでついているではないか。

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