ただ、至高の愛を
葵野楓
第1話 裏切り
「桜子…ごめん……本当にごめん。俺、こんな事になるなんて……。」
目の前で婚約者、嫌、たった今元婚約者になった拓也が泣いている。
正直、泣きたいのはこっちだ。婚約者に浮気されて、あまつさえその浮気相手が妊娠したから婚約は破棄したいというのだから。
けれども事態が上手く脳内で処理出来ずに、涙さえ出ない。
それに、私に言える事と言えば、「分かった。」これしかないでしょう?
こんな公衆の面前で私が取り乱さないのを良く分かっている拓也は狡い。
「じゃあ、私先に出るね。もう連絡はしてこないで。さよなら。」
一刻も早くこの拓也が予約してくれたお店から出たかった。
拓也の支配から抜け出したかった。
お店から出て初めて、涙が出た。
私はいつから裏切られていたの?いつから騙されていた?
ねぇ、拓也。私は本気で好きだったよ。愛していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます