チートのパシリが色々深すぎた件

すくなとうか

プロローグ チートがあまりに危険人物な件

第1話 肝が据わっていても、動揺はする

命が消える瞬間を見た。怯える他なかったが、それも叶わない程に怯えた。

化け物が食っているそれは確実に私の友人の腕であったはずのものだ。


『逃げろ。』

『でも、もういっそ。』


こりゃ参った。まるで自分が二人いるようだ。

冷静な“生”を望む自分と、思考が停止しかけている“死”を望む自分。

どちらも正しい。

そんな呑気なことを言っている自分を含めてしまえば、三人か。

まぁ、そして結論は出ないまま立ち尽くす私が完成されるのだけれども。


「ああああああああああああああああ」

化け物が声を上げた。


死ぬのか、私。

最期にいる場所がなんでこんな森の中なのだろう。

もっといい感じの場所で安らかに死にたかった。


烏が私の頭上で鳴いている。きっと嗤っているに違いない。

烏越しの満月は綺麗だなぁ。


なんか人も見えるし。

宙に浮いてこっちを見下ろしている人が見える。

うん、人。

・・・・人だなぁ。

「助けよっか?」

「あ、お願いします。」


死にそうな人にかける言葉ではないし、死にそうな人が平然と言う言葉でもない。

うっすら5行目あたりから自覚はしていたが、

私思ったより肝が据わっているのかもしれない。

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