馬鹿な勇者にパンツ見られた魔王のラブコメ。

天笠すいとん

第1話 魔王出陣!

 

 人間界から遠く離れた魔界。

 現在、その中心にある魔王軍総司令部は慌ただしさに包まれていた。


「くっ。まさか人間達の最終兵器、勇者があそこまで強いとは」

「我々の軍が敗れるとはな。万を超える軍勢だったのだぞ」


 悔しそうに司令部の机を叩くのは勇者との戦いで敗走して来た魔王軍幹部だった。


「落ち着くのじゃ」


 その中心に座る人物が声を上げる。

 すると、ピタリと場が静かになった。


「勇者とはいえ、たがが人間一人。この妾の敵ではない」

「まさか魔王様!?」


 幹部の全員がこの場で最も強大であり、偉大なる存在に目を向ける。


「妾が戦場に出ると地形が変わりかねないし、人間共がすぐに絶望してつまらないと考えていたが……ふん。勇者を潰す事くらい些事だ」


 つまりこの魔王自らが勇者を倒すというのだ。

 魔界の最高権力者にして、自らも魔法の真髄を極めた戦士。

 勇者が人間界における最終兵器ならば、魔王とは魔界における最終兵器。


 最強の人と魔族。勝つのはどちらなのか?


 だがしかし、魔王軍の幹部達は思った。

 このお方が動くと言う事は魔族の将来は決まった。


 ーーーこの勝負、我々の勝利だ!!


「妾達の悲願、果たさせてもらうのじゃ」



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