星の降るころに__。

雪見だいふく。:* *⛄

転校生

 俺には恋愛は無縁だと思う。女子と話すこと自体苦手だし、一度恋をしたことがあった。いわゆる初恋というやつだ。初恋の子に告白をしたがフラれてしまったことがトラウマでそれ以降高校生になっても恋愛をしようと思っていない。


 そんなことをぼんやり思っていたところに先生が入ってきてこんなことを言った。

「今日は転校生が来る」と。


 案の定クラスはざわつき始め男なのか、女なのかとか。俺はどうでもよかった。転校生が来たからなんだ、普通に接するだけだろ。


 そこに先生が「静かに」と声をかけ廊下にいる転校生に入ってくるように促した。


 ドアが開き転校生が入ってくる。どうやら転校生は女子の様だ。結構可愛い。


 皆の前に立ち、黒板に雨宮月渚あまみやるなと自分の名前を書き、こちらに向き直った。


「初めまして!雨宮月渚と言います!大阪から来ました。大阪弁は治したつもりなんですけど、出てたら行ってください!仲良くしてくれると嬉しいです。気軽に話しかけてください」


 と、陽気な声で自己紹介をした雨宮さん。最後のニッコリと笑顔になっていたのがきっと男子軍の心をつかんだに違いない。


 先生が「雨宮の席は一ノ瀬の隣な」と言い、俺のほうを指さす。


 雨宮さんは頷き、俺の隣に早歩きで来る。席に着くなりよろしくねと、さっきと同じ笑顔を向けて俺に挨拶してきた。俺はよろしく、と質素な返事をし、そこで雨宮さんと俺の会話は終わった__と思ったが雨宮さんが俺に質問してきた。


「一ノ瀬君、下の名前は?」急に何を聞くんだと思ったが返さないのもあれだから「たすく…」と、返した。本当に何の意味があるのだろう。あとから調べたりすればわかることなのに。


「じゃあ、翼くんだね!いい名前~」と、1人でずっと話しているのだ。


 他にも何か話していたがめんどくさくなったので無視した。


 休み時間になると雨宮さんの周りにたくさんの人が来て囲まれていた。


 皆と話している雨宮さんの顔は生き生きとしていて輝いていた。

 すごくかわいい顔だった。休み時間が終わると雨宮さんを囲んでいたクラスメートは各々自分の席へ戻っていた。


クラスメートが戻っていった後も雨宮さんはずっと笑顔だったが、俺には少し悲しい顔をしているようにも見えた。



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