四章 要らない勇者様

まさかの土下座!?

オレの目の前で勇者が土下座してる。

え?これ、どうすればいいの?

えっと、あ~、オレは連夜。

ここではレーヤって呼ばれてる。

そしてオレは魔王様を抱っこして魔王様の椅子に座って勇者一行を迎えたわけだが、、、勇者がオレの目の前で土下座している。

(え?本当にどうすればいいんだ?)



何故こうなったのかは数分前に遡る。

勇者一行が魔王様の城に来たのは昼飯を食べて少ししてからだった。


「勇者一行が着いたのか」

「はい、、、それで、その」

「何だ?まだ何かあるのか?」


サージさんが勇者一行がこの城に来たという報告を聞いていると報告してきた人が何やら言い淀んでいたのでサージさんが問いただしていた。


「それが、、、魔王様に直接会わせろと言われまして」

「そんな無礼者はさっさっと追い出せ」

「いえ、それが、、その」

「えっと、何か追い出せない理由があったんですか?」

「は、はい、レーヤ様」


色々と焦ってパニックになりそうだったのでオレが話しかけると報告してきた人は少し落ち着いてから頷いた。

(しかし、この世界に来てからサージさん以外にオレの事を呼び捨てで呼ぶ人いないんだよな。オレはそんなに偉いわけじゃねぇんだから呼び捨てで呼ばれても良いんだけどなぁ)


「実は、、、勇者以外は城に入らないからと」

「どういう事だ?」

「その、門の所に勇者一行が到着してからの話になりますが、、、勇者一行のお供の者の一人が急に『この者だけを進ませ我らは一切この門の中には入らない。なのでこの者に魔王を会わせてもらいたい』と言ってきまして」

「、、、この城に入るのは確かに勇者か?」

「はい。我ら魔族が魔王様と勇者の気配を間違う事はあり得ませんから」

「そうか、、、、レーヤ」


サージさんは報告を聞いてから何か考えたあとにオレの名前を呼んだ。

(何だろ?)


「はい」

「前の様に謁見の間で魔王様を抱き魔王様の椅子で座っていてくれるか?」

「えーと、それは勇者に会って欲しいって事ですか?」

「ああ、そうだ。危険かも知れないので嫌なら断ってくれても構わない」

「いえ、良いですよ?それに何か、、」

「それに?」

「いえ、何でもないです」

「そうか、、、、お前は勇者を謁見の間に案内しろ」

「はっ!」


サージさんは報告してきた人にそう命じてからオレと魔王様と一緒に謁見の間に移動する。

(何か、、、勇者は大丈夫な様な気がするんだよな、、、勇者、、、な)


そして謁見の間で魔王様を抱っこして魔王様の椅子 (めっちゃ豪華で偉そうで高そう)に座り勇者が来るのを待っていると、謁見の間のデカイ扉にノックが聞こえたので勇者が来たと思いオレは少し緊張していた。

そして、サージさんが中に入れるように言った。

その後に直ぐフードで姿が全て隠れた勇者が入って来た、、、と思ったら土下座された。



そして今現在のオレはとても混乱している。

(えー!?本当になんで?何で土下座?というかオレだけじゃなくてみんな唖然としてんじゃん!けど、オレが声をかけるのもアレだよな?オレ、魔王様じゃねぇし)


「、、、何故、突然這いつくばっている?」

「え?あの、サージさん?」

「何だ」

「土下座知らないんすか?」

「どげざ?」

「あ~、、、えっと、その~、、庶民が魔王様に会う時はどんな風にします?」

「?、、庶民が魔王様に会うなど祝い事でもないと会う事は無いぞ?」

「いえ、その、もしも、庶民が魔王様にこの謁見の間で会うとしたらどんな礼を取るのかと思って」

「ああ、それなら、、、右手を胸の真ん中に置いてから右足を立てながら膝をつき頭を垂れるな」


なんか物語の騎士みたいな優雅な礼を取るんだなっと思いながらも土下座の事を説明する。

(しかし、みんなサージさんと同じ反応って事は土下座知らないのか?)


「土下座っていうのはその礼というか、、、礼以外の意味もあるんですが、、、まぁ、最大レベルの礼みたいなもんです」

「なるほどな、、、では、勇者は何故そのどげざ?というものをしているんだ?」

「あの、オレがちょっと話しかけても良いですか?たぶんっていうか、ほとんど確信してるんですが安全だと思うんで」

「、、、少しでも何かしようとしたら容赦しない。それで良いなら話しかけて良いぞ」

「あ~、、、そんなに脅さなくてもいいと思いますけど。じゃあ、ちょっと話しますね?魔王様は少し椅子に座って待ってて、」

「やぁー!レーヤぁ~、まーちゃ!めっ!」


魔王様を椅子に座らせようとしたらめっちゃ拒否られた。

どうしようかとサージさんを見ると、サージさんはため息をついてから言った。


「魔王様が勇者をそこまで危険だと思ってないみたいだから連れていけ」

「え?あ、はい。じゃあ、魔王様も勇者とお話しましょうね?」

「あい!」


そして魔王様を抱っこしてオレは階段を降りて手が届くくらいの近さまで勇者に近づいた。

ちなみに、オレの後ろからサージさんは警戒しながら着いて来ている。

(あ~、、、やっぱり震えてる。いや、オレもこんな所にポイって一人で行かされたら怖いし普通だよな)


「あの、勇者さん?」

「、、、ぁ」

「あ~、、、そんなに怯えないで下さい。いや、この状態でそれは無理ですよね。すみません」

「、、、っ “ふるふる”」

「えっと、本題にいきますね?その、、、あなたはオレと同じ日本人ですよね?」


オレがそう聞くと勇者は顔を勢いよくあげた。





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