勇者はどんな奴?

オス!オレ、レーヤって呼ばれてる日本で普通の高校生をしていた者だ!

勇者一行が明日にもこの城に着きそうらしい。

その城の中でオレは今日も魔王様のおしめを変えてるぜ!


まぁ、特にオレが出来る事があるわけじゃないので何時も通りに過ごしてるだけなんだけどな。

魔王様のおしめを変えたので今度は散歩に連れていく。

この城の庭や城の中を歩き回るが、当然だが何処に行くにもほとんど人が居る。

軽く挨拶をしながら魔王様を抱きながら散歩を続ける。

(しかし、、、本当にここの人っていうか魔族は美形しか居ねぇな。しかもみんな背が高い!女の人もデカイ!日本人の高校生の平均より少し低い (けど、女の子よりは高い)オレには首が辛い!話す時いつも上を向かないといけないのが辛い!)


「あうぅ~」

「今日はこっちに行きますか?」

「あい!」

「では、こっちの道を散歩しましょう」


魔王様が可愛いお手てを広げたり握ったりしながら行きたい方向に向けるのでその道を散歩する。

魔王様との散歩はいつもこんな感じだ。

(しっかし、オレより小さいのって魔王様しか居ねぇよな。今まで見た中で一番小さい女の人でもオレより少しだけ高いもんな、、、何か男として悲しくなったような、、、考えてたらダメなやつだよな!)


この世界に喚ばれてから色々な人 (魔族だけど)に会ったが、年齢的 (魔族なので人間年齢にしたらの年齢)にオレより下の奴も居たのに背はあっちの方が高いのだ。

しかも外国人と同じように彫りが深くて大人っぽいので童顔が多い日本人の中でも少し童顔 (それでも中3くらいに間違えられる程度)であるオレよりも見た目も年上に見えるのだ。

(絶対にオレの事を小学生くらいのガキと間違えてるよな?たまにクッキーとかの菓子を貰うけど、菓子をくれた奴らみんな小さい子がよく頑張ってるねって感じの視線を感じるからな、、、そういやぁ、オレの年齢を知ってるのってサージさんしか居なくね?他の人達にも言っといた方がよくね?、、、信じるか分かんねぇけど)


そんな事を考えながら散歩を終えると今度は魔王様のお昼寝の時間である。

ここ数日、魔王様は寝付きが悪いので魔王様が寝ている時もオレは魔王様が起きるまで側を離れないのだ。

前はトイレに行ったり、ご飯食ったり、風呂に入ったり出来たのだが、今は魔王様が不安になっているので側を離れると魔王様は機嫌を損ねてなかなか機嫌を治してくれないのだ。

機嫌を損ねるだけならまだ良いのだが、酷いと泣きながら魔法を暴走させるのであまり離れるなとサージさんにも言われている。


「ぶぅ~」

「ぶぅ、じゃないですよ魔王様。ねんねしましょうね?今日もずっと側に居ますから大丈夫ですよ?」

「あう~、うっ、やっ!」

「ねんね嫌ですか?けど、ねんねしないと大きくなれませんよ?」

「うぅ~、やぁ」

「ねんね、ねんね、、、~♪~」

“とんとん”


優しく魔王様の体を撫でるように叩きながら子守歌を歌うと魔王様はうとうとしながら眠った。

(ふぅ、寝たか。しかし、、、やっぱり可愛いー!赤ちゃんって最高だよな!もう存在が神だよな!いや、天使だったっけ?魔王様は魔王だけど。グズるのも可愛いんだよなぁ、、、、しかし、明日か明後日に勇者一行が来るってのに、みんな何時も通りだったよな?緊張もしてなかったし、、、勇者は魔王様を倒しに来るみたいだけど魔王様はまだ赤ちゃんだし。もしも勇者がそんな可愛い世界の宝の赤ちゃんを容赦なく倒そうとしたらオレが勇者を消そう。絶対に消す。だけど勇者ってどんな奴なんだ?)


勇者到着まであと、1日
















??視点


僕を召喚した人達は可笑しい。

何の説明もなく“この子”と一緒に魔王の所に行けだったし。

道中は一切、外に出る事を禁じられるし。

そして、道中で説明された話では僕と“この子”は魔王を倒す為に魔王の城に向かってるみたいだ。

無理矢理で僕と“この子”の意思ではないけどね。

僕を召喚した人達の目を見て何となく感じ取ってしまったが、僕は特になんの加護もなく召喚されたみたいで『役立たずは要らない』って目で見られていた。

つまり、僕と“この子”は要らないから魔王に処分させようって事みたいだ。

(そっちが勝手に喚んだくせに期待に沿わないからって勝手に捨てるとか腐ってる。しかも何で“この子”も一緒にしたんだろう?“この子”はまだ、、、、)


「ごめんね、僕がこの世界に来なかったら君はまだ大切にされてただろうね。けど、、、あいつらは腐ってるから君に何するか分からないから、あそこにずっと居るより良かったのかな?、、、、けど、こんなに早く君を死地に向かわせる事ないよね?死地に行くのが早まったのは僕が来たからだよね?、、、君には何の罪も無いのに、ごめんね」


明日には魔王の城に着く。

僕と“この子”の生きる時間もあと少しだけ。





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