迷子を見つけた (セーラ視点)
初めましてオレはセーラ。
戦士見習いをしている。
一番下っぱだけどな。
見習いは補助が使えないとやっていけないのに、オレは防御魔法や補助魔法が苦手で使えてもとても弱い。
なので、オレはこの城の中の誰よりも下っぱの戦士見習いだ。
今は城の見回りをしている。
見習いは三人一組で見回りをしないといけないが、オレと組んでいる二人がオレと一緒では成長出来ないと先輩の戦士に言って、先輩の戦士はその二人を贔屓して (可愛がって)いたので、それならオレ一人で見回りしてこいと命令してきたのでオレは一人で見回りをしている。
(あとは庭だけだな、、、ん?あれは、、、赤ん坊!?)
あとは庭の見回りだけになったので庭を窓から見ると黒い布の塊が見えた。
よく見ると小さい赤ん坊がハイハイしながら動いているので急いで庭に出て赤ん坊の所に走った。
「はぁはぁ、、、ふぅ、やっぱり赤ん坊だ」
「あう、あう、、、う?」
「、、、えっと、ど、どうしました?」
「あう?う、うぅ」
「あー!泣かないで!えっと、だ、誰か探してるんですか?」
「うぅ~、レーヤぁ」
「レーヤ?レーヤ様って人を探してるんですね?」
「あうぅ、レーヤぁ~」
「レーヤ様ですね!オレも一緒に探します!なので泣かないで下さいね?えーっと、これ!これをあげますからオレがレーヤ様を探してくるまで待っていてくれますか?」
「あう?う?あ~、あい」
「イイコですね~。では、オレはレーヤ様を探してきますね?」
オレは黒い布を身にまとった高貴だろう赤ん坊に敬語を使いながら持っていたマスカラ (見回りしていたら先輩の見習いに、いきなり要らねっと言って投げてきた物)をあげてから赤ん坊の保護者であろうレーヤ様を探す事にした。
(多分、近くに居るよな?)
「レーヤ様!レーヤ様はいらっしゃいますか!?黒い布の赤ん坊が探してます!」
そう大声を出しながら探していると、こっちに向かってくる二人に気づいた。
(こっちに向かって来るって事はあのどちらかがレーヤ様かって!、、、サージ様?)
「すみません!まおっ、赤ちゃんがオレを探してるって聞いたんですが!」
「はい!黒い布を身にまとった赤ん坊がレーヤ様の名前を呼んで探していました!」
「それ!オレです!レーヤはオレです!赤ちゃんは何処ですか?」
「えっと、こっちです!」
レーヤ様の隣に居るサージ様が気になったが、今は赤ん坊の方が気になっていたのでレーヤ様を赤ん坊の所に案内した。
(サージ様が何も言わないってことはこの方がレーヤ様なのは間違えないだろう。早くあの赤ん坊を安心させないと)
「あそこです!」
オレがそう言うとレーヤ様はあり得ないほどの速度を出して赤ん坊の所にたどり着いた。
(え?あんな速度を出して走れる奴っているのか!?今まで見た中で一番早いんだけど!?)
“シャカシャカ、シャカシャカ”
「あう~、あっ、う~」
「まおっ、坊っちゃん!オレです!レーヤですよ!」
「あう?あっ!レーヤぁ~」
「ああ!良かった!坊っちゃん!怪我はありませんか?」
「レーヤぁ~、ふえっ」
「あ~、寂しかったですね?泣いていいですよ?寂しいのをよく我慢出来ましたね。偉いです。イイコですね」
「ふぅ、ふえぇー!」
レーヤ様は赤ん坊を抱き上げ背中を擦るように慰めながらあやしていました。
(良かった。赤ん坊も保護者に会えて安心したみたいだし、、、それより、何でサージ様がオレをじっと見てるんだ?オレ、何かしたか?)
「、、、お前はあの赤ん坊を見つけたと言っていたな?」
「はい」
「見つけた時に泣き出さなかったか?」
「泣きそうになっていましたが、その、オレがもらったマスカラをあげて赤ん坊が呼んでいたレーヤ様をオレが探すと言いましたら泣くのを我慢してくれたみたいで、、、レーヤ様を探して来るので待っていてくれますか?と聞いたら頷いたのでレーヤ様を探しておりました」
「、、、そうか。お前の所属は?」
「、、、オレは戦士見習いの一番下っぱです」
「そうか、、、名前は?」
「オレの名前ですか?セーラと申します」
何故かサージ様に色々と質問されたが、簡単なものだったので全て答えることが出来た。
その後、レーヤ様がオレにお礼を言ってからその場を去っていった。
オレは良いことをした気持ちになってその後の見回りも清々しい気持ちで見回った。
後日、オレは迷子の赤ん坊が魔王様だと知ることになる、、、魔王様付きの執事になって。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます