第17話 ご褒美です
女の子の足を舐める。一般的には屈辱的な行為だと思われている。
この場に川瀬がいたら間違いなく同意してくれるはずだ。ご褒美であると!
僕はゆっくりと
彼女の顔は不安でいっぱいだった。頼りない僕だけど、この時ばかりは安心してほしい。
一歩近づく度、
椅子に座っている
「すぐに逃げ出さなかったのは褒めてあげる。だけど足を舐めるなんてできないんだろ? 他の男子部員と同じでさ」
「
「はは。わかってるじゃないか。ならさっさと……」
「だから失うモノが何もないんです! 水泳部の女王の足を舐められる。こんなのご褒美でしかありません!」
「ちょっ! 何言って」
僕は膝を着いて
決して負け惜しみなんかじゃない。これは神様が与えてくれたまたとないチャンスだ。
両手を着くとざらざらとした床が手のひらに食い込む。この痛みすらある種のプレイのように感じる。女子が近くにいると灰になってしまう川瀬は本当に残念だ。もし灰にならなければ
「ねえねえ
「土下座は……得意みたいです」
若干的外れな回答に
「
「そうです! ここまでされたら舐められたも同然。この男は何のプライドもないクズです。プール掃除でこき使ってやりましょう」
「代わりに私が舐めます!」
水泳部の中で僕の評価が乱高下する。あと、やっぱり一人おかしいのが混じっている。陽キャの見せかけて実はこちら側の人間なのかな?
だけど残念。僕は
「ふ、ふんっ! どうせ直前になったら逃げるんだ。土下座すれば誠意を見せたことになると思ってやがる。絶対ダメだね。うちの足を舐めるまで認めない」
「
祈るように
下手すれば退学になってもおかしくないくらいのとんでもないお願いをしたにも関わらず、
そんな彼女に恩返しするにはちゃんとプール掃除をして、部長さんにボランティア部への入部を認めてもらうしかない。
だから僕は逃げないし、ご褒美のチャンスを逃すつもりはない!
「ほら、さっさと頭を下げろよ。これで勘弁してくださいってな」
足を舐めるのではなく土下座だと思っている
いいぞいいぞ。僕はそういう人の足を舐めたいんだ。
「
「どんなに頼まれてもうちは認めないからな」
スーッと息を大きく吸うと蒸れた足の臭いが鼻を付いた。いつも良い匂いを振りまいている女子も足は臭くなる。これは大発見だし、ギャップがより僕の心を躍らせた。
「ぜひ足を舐めさせてください!」
「ふぇ……え? え?」
僕はじっと床を見つめる。
だけど、きちんと相手の同意を得てからじゃないと後で訴えられた時に負けるのは僕だ。
だから僕は
「舐めていいんですよね? 足!!」
「あ……え、えと……うちらに誠意を見せるって言うなら」
「じゃあ誠意を見せるために足を舐めさせていただきます! いいですね!?」
「で、できるもんならな!」
内心ではドキドキしながら
「どうせできないわよ」
「さすが
「私が舐めたい!!」
ふふふ。羨ましいだろう。キミも土下座でお願いすれば足を舐めさせてもらえるかもしれないぞ。足の処女は僕が奪うけどな!
目の前には綺麗な足がある。あと数センチ顔を近付けて舌を伸ばせば一生縁がないと思っていた体験ができる。
横目で
「では」
いただきます。と言いたい気持ちをグッと堪えて黙って舌を出した。
顔はすっかりオトナの女みたいなオーラを出しているのに足の指は子供みたいな丸みを帯びていて可愛らしい。そこから放たれる酸味のある臭いがギャップとなり良いアクセントになっていた。
「まさか本当に……」
「でもでも、それは
「うぅ……羨ましい」
思わぬ展開に女子達は戸惑いと欲望を隠しきれていない。最初から底辺だからこそできることがある。たまに陽キャを羨ましく思うことがあったけど、今この瞬間だけは底辺クズ陰キャで良かったと心の底から感じていた。
「んん……」
足の甲に優しく舌を這わせると
日頃、陽キャへの鬱憤がたまっているせいか初対面にも関わらず
「ひゃっ! ……も、もうわか……んっ!」
ふくらはぎを両手でしっかりと掴んで指と指の間に舌を這わせると喘ぐように悶絶した。部員の前ではしたない姿を晒すわけにはいかないと必死に耐える姿がより一層僕を興奮させる。
「そ、そんな……
「足を舐める下僕のくせに、なんで嬉しそうなのよ」
「代わってほしい」
言われた通り一生懸命ペロペロしているだけなのに部員のみなさんからは不評のようだ。この様子だと足を舐められるのは
まだプール掃除の許可を得ていないので足の指をくわえて口の中で優しく転がす。
「認める! プール掃除お願いします! だからもう……」
「ぷはぁっ! ありがとうございます。一生懸命頑張ります」
「うぅ……男子のくせに。なんなのよもう」
「世の中にはこういう男もいるってことです。更衣室お借りしますね」
「
「まさか
「僕の頑張りを見た感想がそれ!?」
「お母さんの足だって喜んで舐めるでしょ?」
「それは、まあ……」
「もう! 部長になんて報告すればいいの」
「うまいことお願いします」
土下座して女子の足を舐めるという醜態を晒したにも関わらず
居心地は悪いけど
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