1600字小説『ソレハマニアク』

ウゴカッタン

マニアックなことを繰り返すのが日常と心得る

 毎日、色々とやることがあるのは確かという具合であるが、やってやれないことはないだろう、それは急に始まったミリオタ戦記である。

 ある時、ミリオタはこう思った、ミリオタ同士守備範囲が違い、それぞれがコミュニケーションのためにとりあえずのサバゲ―などをしているわけで、そういった交流の中で徐々に皆が守備範囲を広めたりするが、基本、一人一つのミリオタ話があるという具合であり、そうである、好きなものが違っている。

 じゃあいっそのこと一度全員で自分が好きな戦記物とやらを仮装のシェアワールドを舞台にガチャガチャワチャワチャやってみれば?という具合である。 で色んな戦争に使われた兵器を運用しようとするミリオタ達の額の汗が見られる、そらそうである陣地構築から塹壕掘りまで、全部が全部、自分達の手で作って、自分たちの手で破壊するのである。

 旧式の戦車が塹壕掘りを乗り越えるのを見て歓喜の嵐が湧きたったり、複葉機による哨戒活動やドッグファイトなどをやって湧き立ったり、果てには進歩した銃火器の威力を確かめるために、機関銃を掃射して塹壕から駆け抜けようとする一隊に弾丸雨あられの放水を浴びせれば、たちまち躯と化すミリオタ達、だがひとつ重要なことをミリオタ達は忘れていた。

 そうである実際の戦争は物量で決まっていたのだ!

 そうである!

 そうである、ミリオタはそんなにいないのだ!

 絶対数で考えれば当時の国民が職にあぶれて軍に志願するという流れで、かき集めたが千万の護国が為の兵隊さんとなれば、そんな数をかきあつめることじたいが忙しいし、そもそも自分のジャンル自体が過疎かもしれないとかそういうことを考えてる状態でそこまで賑わいなくてもいいかなっていう具合であったから、そもそも絶対数が少ない戦争になってしまった!

 このためミリオタ戦記はまず数が揃ってない、不出来の軍であったゆえに、密集隊形で命中精度の低いやっとこさ集めた銃火器を全員でぶっぱして物量で戦う戦法とかが好きなミリオタが真っ先に、艦船の艦砲でぶっ飛んで散り散りになった!

 だが考えても見ろ! 艦船も艦船で火の車だ! ひとつの艦を運用しようと思えば数百人以上の人出がいる、むかしの艦は最新鋭のレーダー網など構築出来て無ければ、機械による制御もまだかなり人が割り当てられてやっとという具合、ということで艦艇を動かすのが怖いのでのろのろ航海となり、少ない人員で何とか港のそばから要塞フェチのミリオタがやっとのことで築き上げた防衛陣地めがけて艦砲を一発一発丁寧にぶち込んでる具合である。

 慣れない弾道計算から、着弾点の目測、これが時々外れるので味方舞台の構築陣地に誤射したりして、正直効率よく艦砲が運営出来てるとは言い難い、そんなジリジリの戦争が続いていたという次第であるから、我々は迷ってしまう!

 結果として戦闘は長引かない、ミリオタにも練度がそれぞれあり、さらには忍耐のギリギリの線がある! 日頃の社会激務の中からぎりぎり作り出した時間でミリタリーライフという、限られたもので、どれだけ一人前に与えられた兵器を運用できるかも分からないし、中には陛下から受け賜わったものだと言って使えないものもあるし、何よりやっとこさ集めたものをわざわざ打ちっぱなしで消耗するのがもったいないと考えて、戦線離脱して自室にグッズとして持ち帰ってしまう戦意の低いものもいる次第である。

 これではいかん! ただでさえ人数が少ないコアだったりニッチだったりする部分が維持できない状況はいつ考えても危機感を覚える。 そうだ戦争してる場合じゃない、普通に考えて日常生活をして、その中で見出せるほんの少しの頑張りを認めて色んな趣味を奔放に広げていくそんな人生こそが一つの楽しみであるはずなのだが、そうだ、戦争なんてしてる場合は無いのである!

 そんな暇があったら皆を自ジャンルひ引き込むのだ!

(※まあその為の仮想戦争だったんだけどね)

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1600字小説『ソレハマニアク』 ウゴカッタン @kak16kyou

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