第五話


「見限られて、捨てられるのかと……」


「衝動で恋愛はしないと言ったし簡単には捨てないよ。

 それと……いつかの行き過ぎた行為とその後の態度のお詫びを。今後について逡巡中に挑発されて暴走した、ごめん」


「俺こそ、怖じ気づくとか最低だった」


「要らぬ責任を感じないの、焦らし続けた僕が悪い」


「……俺そんなに先輩の名前連呼してた?」


「それは悔しいほどに、そして止めの外泊」


「ヤキモチ妬いてくれたんだ」


「顔に出したら負けだと叱咤しながら、人並み以上に」


「ははは、嬉しくて泣けてくる」


「そんな顔しないの、キスしたくなるよ。

 きみ達が大切に想うキス」


「今、そんなのされたらどうなるか分からない」


「思うがままにきて。足りないところは補い合えばいい」


満ち溢れる月の明かりが柔らかく部屋を照らす。

伏せる瞳、絡めた指先、互いを慈しむように優しく口づけを交わす。

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