第五話

やはり剣呑な雰囲気の内見を幾つか済ませ、ようやく契約に漕ぎつく。

これでソファでの寒々しい冬越しを回避出来る。


手続きを終えて席を立とうとすると例のお兄さんが引き留めて聞いた。

「キミ、うちで働きません?」


初日の手持ち無沙汰のお節介案内や諸々の会話の様子からスカウトしたくなったという。

これなら大家さんへの心証も更に良くなるし、現在無職で貯金もない穀潰しの俺には願ってもない話だ。


あなたに向き直ると何だか視線が冷たい。

何故…………?


溜め息をひとつ吐くと

「先ずは面接頑張って」

と励ましてくれた。


宜しくお願いします!

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