第二話

「おかえり、どうだった?」


「窓口の担当者に詳細を話してスッキリしたら、それが社長だったという驚きの展開。

 社長自ら把握する仕組みらしい。


『あの年度の入社式はいい事言った筈だが』

と云われて言葉に詰まったら

『髭がおありでした』

と秘書さんが。

 世の中、何が起きるか判んないね。

 復職を促されたけど、同じ建物に居ると思うと吐きそうだから断った。そうしたら名刺くれたよ。どう使うんだろうな、これ。


 ……自分が意外にも高評価を得てたと判って、すげー嬉しいし自信が持てた」


「きみは直ぐ捨て鉢になる悪い癖があるからね」

 包み込むように優しいハグ。

 ふわりとあなたの髪が鼻をくすぐる。


「俺、全然ダメでどうしようもないけど、少しでも近付けるよう早く成長するから」


「無理して背伸びせず、きみらしく生きなさい」


「いつも救ってくれて、ありがとう」

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