age25

秘密

第一話

俺はひとつ秘密を抱えている。

バレないように工作するのも、もう限界かも知れない。


あなたのところに転がり込んで幾日か。

着信メロディが今日も部屋に鳴り響く。

「今すぐ出なさい、さもなくば僕が出る」

「勝手に触るな!」

『やっと出た、あんた今どこにいるのよ!』


「説明してもらおうかな」

とうとうこの時が来てしまった。

観念して語るしかない。


「ここに来る前に会社辞めてきた。

 理由は先輩からのパワハラ。

 上司に話しても先輩は受けが良いから信用しないし、挙げ句目を瞑れって。

 悔しいから相談窓口に告発して、有給全部使って出てきた。


 電話は姉。会社からの通知を無視したら実家に連絡がいったらしい。

 話をしたいから一度来社しろって。


 告ったとき『別物の感情』と云われて鋭いなと。助けてほしかったのも事実だから。

 もしかして気付いてた?」


「流石にそこまでは。

 初めて泊めたときにかなりうなされていたから、何か有るのかな、と」


「ははは、さすがの観察眼、年の功!

 圧倒的経験差を感じざるを得ない!!」


「あのね、簡単に年上の括りで片付けないで、そこはきみへの想い故、とでも言ってくれない?」


「……抱いていい?」


「まだ早い。もとい、先ずは出向いてからにしなさい」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る