「ダイアナ一代記」が紡ぐ王子様と家庭教師の初恋

「年端のいかない女の助けなんてまったく必要としていない」

十六歳の家庭教師(自称淑女、淑女は家族以外の異性の下着を手にとったりはしないのでは)に言い放ったのは、見目は麗しいセクハラパワハラ二刀流での攻撃でごりごりHP…精神力、忍耐力と尊厳を削ってくる十三歳の王子様。

いや、昭和のオッサンかよ。ここまで強烈だといっそ清々しい……んな訳あるかい。まぁ、でも実際にこのくらいの年齢の弟と口喧嘩になると、こう、文字で表すといろんな規制に引っ掛かるような言葉の応酬になりますよね。ええ、経験ありますとも。それと比べりゃまぁ……さすが王子様、セクハラパワハラ案件でも気品がありますわ(気品あるセクハラって何?)。

この王子様が、わずか一年程で
家庭教師の為に自らココアを用意し、
「淑女の部屋に押しかけるわけにいかないし」
とか言いつつ授業後、彼女を部屋まで送る。

こぉんな大変貌を遂げるのです。
やぁん、王子様。凛としたお姉さんに恋、しちゃいましたね、これは。可愛い。
一方の家庭教師の側も憎からず想っているのは明白。

そんな二人も戦争で離ればなれになってしまう。
えぇ、せっかく良い感じになっているのに………


話数はあるけど一気に読めます。
短編なので、そこのところもう少し詳しく─とか、二人の他のエピソード読みたい、とか(妄想で補う必要があるけれど)。
若干の物足りなさはあるけれども、即効性のあるハッピーエンドで寒い季節には特におすすめです。

しかし例の本、いったい誰が持ち込んだのでしょうね?