第11話 二人の物語
戦争が終わりました。
「勝った国」「負けた国」があり、私の住むこの国もそのいずれかには属していましたが、どちらにせよどこの国も疲弊しきり、貧しくなっていました。
王子様付き家庭教師の任を解かれていた私は、一度実家に帰っていたものの、終戦を機に、再び都に上がって職を求めようと決意していました。
(王宮でお仕事頂ける機会なんかもうないと思うけれど、おかげさまで職歴はどこに出しても恥ずかしくないはず)
晴天の下、依頼の洗濯物を干しながら決意を固めていた私の元に。
「こんにちは。リジ―先生はこちらかな?」
物干し竿にはためくリネンの影から、私はおそるおそる声のした方へと顔を出してみました。
そこには、あの出会いの日から随分と成長なさったアルバート様のお姿が。
「ご無事でしたか」
「うん。それでね、早速だけど、僕は貧乏暇なし王族の端くれとして、手始めに事業に着手することになり、そのパートナーを迎えに来たところなんだ。どうだろう。一緒に【リジ―とアルバート一代記】を紡いでくれないだろうか?」
輝くばかりの笑顔で言ったアルバート様に、私は驚きの余りしばらく声がでませんでしたが、我に返ってようやく言いました。
「ちょうど仕事を探そうと思っていたところなんです。私でよければ喜んで」
素直さに欠けた私に、アルバート様はにっこりと微笑んでから跪き「よろしくお願いします」と言いました。
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