2 幼馴染の壁 【空】

私と碧は昔から一緒だった。

何をするにしても、どこへ行くにしても、


ほかの誰よりも一緒に過ごしてきた

なのに中学2年の冬急に碧に対する『友達』というもの以外の感情が込み上げてきた。


「この気持ちは何なのだろう」


そんなことを思っているうちに私たちの距離は物理的にも精神的にも

離れていった


だけど私は碧とずっと一緒に居たいと心の底から思っていた


碧と同じ高校にしたのも全部自分の為。



そう。私は碧が『好き』なんだ。



しかし、同じ高校に入り同じクラスなのに一言も言葉を交わさずに夏休み前日まできてしまった。

碧とは話せないが同じクラスの友達の智美とは自分では言いずらいが親密な関係にあった。


昼休み


「なんてヘタレなんだ私…」

「ん?どうかした?空」

「いや!何でもないの」

「男??空にもカレシ???」

「ち、違うわよ~」

「私は応援してんぞ!空の恋」


智美は笑いながら言う。


まぁ恋はしてるんだけどね(笑)


放課後


私はドアに耳を当てながら初めて盗み聞きというものを

した。


この声は…碧と誰だ?女の子ではなさそうだ。

そこで少しほっとしてしまった自分がいた。


何か話している。


あまり聞こえない。


「鈴木さんの水着見たくないか?」と聞こえてしまった


そのとたん私の顔が熱くなるのが分かった。


それに続いて「見たい」という言葉が私の好きな声で聞こえてしまった。


しばらくして誰かの足音が教室から聞こえた。


幸い階段に一番近いクラスだったので隠れることができた。


コンコンと近づいてくる足音。

ドクドクと聞こえる私の心臓の音。


教室から出てくる男の子の影が見えた。

男の子が角を曲がった。


その男の子はいつも碧と一緒に居る山本君だった。


彼は私の顔を見ると顔を少し赤くして階段を


ダンッダンッと走って下って行ってしまった。


私は教室の前に戻りドアからこっそり中を覗いた。


碧は天井を見ながら考え事をしている。ようだった。


私はガタンッッと強くドアを開けた。


すると碧はこっちに振り向きながら

「おい雄太やっぱ俺じゃ…」

と言った。


「私、空だよ?」と咄嗟に出た。


そして私は「行きません!」と言い捨てて

教室を出て行った。



自分の部屋で


「あぁも~なんで私はあんなことしかいえないの~」

と枕を顔で潰しながら嘆く。


「絶対碧に嫌われたぁ~」

などネガティブなことしか考えられなかった。


いや、待てよ…高校で初めて碧と話せた!


会話かどうかなんて私にはどうでも良かった。


言葉を交わせた事が嬉しかったのと嫌われたことを天秤にかける事すらできないほど


``複雑‘‘だ










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