カメレオン人間レオン君が彼女作るために変装します!
おおかめ
清楚美少女の"清水日向"さん 編
第1話「清楚美少女の"清水日向"さん」
「彼女が欲しいっ!」
右手のダンベルを持ち上げる。上腕二頭筋を鍛えるダンベルトレーニングだ。
「彼女が欲しいっ!」
右手のダンベルを下ろし今度は左手のダンベルを持ち上げる。同時に汗が額を流れる。
「彼女っ!彼女っ!彼女おおおおお!!」
「だーっ!!うるさいわーーっ!!黙って筋トレできねぇのかお前はぁ!!」
筋肉を大きくするためのトレーニングを終えた俺はダンベルを床に下ろす。
「よし、筋トレ終了! ぐううっ、上腕二頭筋に効くぜ……」
ひしひしと腕に痛みを感じていると椅子に腰掛けている小学校からの友人である
「まったくレオン……お前は静かに筋トレできんのか?」
「別にいいだろう?どうせこの部屋に来るの俺達以外いないし」
「まぁ、そうだが……」
俺と匠真がいるのは数学準備室。テーブルゲーム同好会の活動するための部室として学校から与えられたものだ。
「この部屋の前は生徒も先生も通るから、下手したらお前の叫び声聞こえてんじゃないのか?」
「別に構わん。むしろお前は彼女欲しいと思わないのか?」
「いや、まったく」
「ほーん。そうなんだぁ~」
彼女――そう、男子高校生なら欲しいと思う者も多いだろう。なんせ彼女がいればエッチできる可能性がぐっと上がるからな!
「女の子とエッチしたいとも思わないのか?」
「まぁ、そういうのは人並みに興味はあるが……」
休憩も兼ねて携帯タイプのプロテインを口にしながら匠真と会話を交わす。
体も休まり、しばらく会話したところで荷物をまとめる。
「んじゃ、レオン、久々にゲーセンでも寄ってこうぜ?」
「おう、そうだな」
今日は高校一年生の学年末テスト最終日。テストも終えた解放感からひと遊びしたいと思っていたところだ。
パンポーン♪
荷物を持って部室を出ようとするとLINEの着信音が鳴る。
「? 誰かから連絡か?」
「みたいだな。確かこの着信音は……」
ブレザーの内ポケットから青色のカバーを着用したスマホを取り出す。
『沢井くん、まだ学校にいる?』
メッセージの送り主は隣のクラスの
『いるよ』
返信して少し待つと再びメッセージが送られてきた。
『急で悪いけど、先生に用事を頼まれたの。でも一人じゃ大変なのもあって……手伝ってくれない?』
清水さんが困ってる。これは大変だ!すぐに向かわなければ!
『うん。いいよ。どこに行けばいい?』
「おい!俺とゲーセン行く用事はどうしたんだよ!?」
「うるせぇ!女の子が困ってんだから助けるのは当然だろ!」
スマホを覗いていた
「だからって、俺との用事をすっぽかすことはないだろ……」
「よし、すぐに変装して清水さんのところに向かうぞ!」
窓の下の埋め込み棚に置かれているいくつものテーブルゲームをどかし、棚の奥に隠すようにしまってあるメイク道具やウィッグを取り出す。
そう、高校一年生の俺『
それは『相手や状況に応じて性格や態度を変えること』と『声帯模写』、そして『メイク』。
この三つの特技を駆使して普段の俺とは全く違う別人に変装し、気になった女の子と接していく。
そして、最終的には誰か一人と付き合ってエッチする!これこそが俺の高校生活において全ての力を注いでいることだ!
――しばらくして
「よし、メイク完了だ!」
清潔感のある顔にセットされた黒髪、清水さん用に変装したのは爽やかイケメンの『
「相変わらずすげぇメイク技術だぜ……ぱっと見まるで別人だもんな」
「さらに声と性格まで変えれば――やぁ匠真君、今日も元気かい?(沢井啓介ボイス)」
「得意の声帯模写と性格変更で別人に変装……マジで別人と会話してるようにしか思えん。お前、スパイとか向いてんじゃね?どっかの国の機関に潜入して国家機密の情報盗み出したりとかさ」
「下手したら殺されかねないし危なっかしいからやらん」
「勿体ないなぁ~。せっかく変装の能力があるっていうのに」
「この変装は彼女作るために使うものだから他に使うことは考えてない。さて、準備もできたし俺は清水さんのところに行くわ」
「やれやれ、しょうがねぇなぁ。用事が済んだら今度こそゲーセンな」
「おう」
そう匠真と約束を交わして俺は清水さんの元へ向かって行った。
♡
一年Cクラス教室前、清水さんに指定された場所で待つ。
『はあっ、はあっ……』
遠くから一人の女子生徒が小走りでこちらに向かってくる。清水さんだ。
「はあっ、はあっ……ごめんね沢井くん、待たせちゃって」
吸い込まれそうな大きな目に落ち着きを感じさせる黒髪ロングヘアー、学年一の美少女と名高いこの人こそ清水日向さんだ。
「僕も今来たばかりだから待ってないよ。僕こそごめんね?すぐに来れなくて」
「ううんいいの。沢井くんが来るまでに他の用事を済ませておいたから」
他の用事を済ませたってことはいくつか頼まれてたのかな?まったく、女の子一人に負担かけるなんて先生は何考えてるんだ。
「それで、僕は何を手伝えばいいんだい?」
「Cクラスの教室に貼ってある掲示物を外してほしいの。低いところは届くけど、高いところにあるのは私じゃ手が届かなくて……お願いしてもいい?」
「うん。任せて!二人で協力して終わらせよう!」
「ありがとう!じゃあ早速始めよっか」
低いところは清水さん、高いところは俺。それぞれ分担しながら作業に取り掛かる。
清水さんが言うには同じクラスの人に手伝ってもらおうとしたけど誰もいなくて一人だと大変だからダメ元で俺に連絡してきたらしい。こうやって頼られると嬉しいものだ。
それに、こうして清水さんと二人きりでいられるから俺としては結果オーライだ。清水さんには悪いけど、図らずともこの状況を作り出してくれたCクラスの皆には感謝だ。
作業を進めながら清水さんと会話を交わす。
「そういえば清水さん、テストはどうだった?」
「今日のテストはすごく難しかったなぁ~」
「はははっ、学年主席の清水さんなら今回も一位は余裕じゃないのかい?」
「う~ん、化学で少しミスしちゃったから一位は厳しいかな?」
「それでも学年トップレベルの実力があるのはすごいことだよ。 それにしても、テストも終わったしパーッと気分を晴らしたいね?」
「うん、そうだね。最近ずっとテスト勉強してたし、どこかに遊びに行きたいなぁ~」
「それじゃあ遊びに行くかい?ゲーセンとかカラオケとか?」
「あっ、いいね!ラウンドワンとか行こうよ!」
「それならいつにするかい?僕は明日空いてるけど?」
「ごめん。明日は空いてなくて……今度の日曜なら空いてるよ」
「うーん、日曜はバイトがあるから厳しいかな?来週の木曜と修了式の日なら空いてるけど?」
「あっ!修了式の日なら私も空いてる!」
「それじゃあ修了式の日にしようか。どこに行くかは近くなったら考えるということでいいかな?」
「うん!楽しみにしてるね!」
「僕も楽しみにしてるよ」
ラッキー☆これは思わぬ収穫だ!まさか清水さんと遊びに行く約束ができるなんて!今から修了式の日が楽しみだ!
一気に気分も上がり俺は張り切って作業を進めていった。
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