ワンドロ TS

へりぶち

戦犯

いつもの退屈な日曜日の午後14時。

俺はというと、少し寂れた街の中華屋に入りひとり遅めの昼食を取っていた。


散歩の行き先でたまたま見つけれて良かったなぁとラーメンをすすっていると、隣のカウンター席の男子高校生らしき2人が大きな声で会話をしながら入店し隣のカウンター席に座った。


まぁ、俺もこういう年頃の頃は何かにつけて騒いだもんだよな…などとノスタルジーに浸っていると会話が耳に入ってきた。



「今流行ってるよな、アレ!やっぱ一度は体験しなきゃみたいなところあるしさ、今度行ってみない?」


「アレ? あー…交互にやるやつね。」


なるほど、彼らはサウナについて話をしているらしい。

確かにサウナはいいよなぁ…この後アパートにタオル取りに戻ってサウナ行っちゃおうかなと頭の中で予定を立て、会計をしようと椅子から少し腰を浮かし─


「そうそう、TS交互浴。」

また腰を下ろした。


TS交互浴!?

あまりの衝撃を落ち着けるかのように水のおかわりを注ぎ、ちびちびと飲みながら会話を盗み聞きする事に俺は専念した。


少年の片割れが言うにはTS交互浴専用の施設は各所にあるらしい。


「交互に性別を変える事により異性の思いやりや性別にとらわれない視点を得る事ができる」と政府からも公認を受けたものであり、完全会員制。

割高ながらも施設によって特色があり、そこから自分の好みに合った外見になる事ができるという。※個人差アリ


ちなみにここから1番近い施設では、男は古き良き金髪ツインテつり目ちっぱい属性になれるらしい。

…完全に施設の上の人の趣味では?などという野暮なツッコミは喉の奥にコップの水で流し込み、俺はクールに椅子から降り会計をして足早に店を去った。


ドアを閉める際、

「隣の人、行くと思う?」

「行くだろ、なんかソワソワ聞いてたし」

などと会話しているのが聞こえたが。

それでも俺は、クールに店を去ったのだ。


その後の俺の行動はここに記す必要もないだろう。



ところで、やっぱり黒髪ロングで姫カットに落ち着くところあるよね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ワンドロ TS へりぶち @HeriBuchi1

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る