二話 首筋と汗

話しかけるのが苦手で、暗くて、ずっと1人で過ごしてきた。誰かが、カラオケ行こうなんて話をしてると嫉妬して。


嫉妬する資格すらないのに。


でもこの春


「花乃ちゃん…一緒に帰ろ?」


転校してきた姫と仲良くなって、毎日が本当に楽しくなった。







「花乃、お昼先食べてて。」


「わかった。また告白?」


「うん…」


姫は少し寂しそうな顔をして俯いた。美人だからどんな顔をしても絵になる。


「姫は本当にモテるね。」



姫は誰とも付き合わないで欲しい。


ずっと姫の1番でいたい。





「花乃ちゃん1人じゃ寂しいじゃん。うちと一緒に食べよ。」


「はるちゃんありがとう」


こんな風になれたのも姫のお陰だ。


「姫ちゃんまた告白されてるの?」


「…うん。」


「男子も懲りないよね」


「うん。姫って好きな人いるのかな?」


もし、姫が告白したらすぐ付き合えちゃうんだろうな。



すごくやだ。



「花乃ちゃんは姫ちゃんのことどう思ってるの?」


「え?かっこいいなって」


「ねえ、花乃ちゃん、嫉妬してるんじゃない?」


「姫がモテるから?」


「違うよ。そう言うことじゃなくて、姫ちゃんの事好きなんでしょ?」


「うん、勿論。」


「そうじゃなくて、恋とかの方の」


「いや、そんなこと…そもそも私、女子だし…」


何度か考えたことがあった。


こんなに姫を大好きなのはこの好きが恋だからだって。


「よく考えなよ。」


「だけど…」


「花乃!遅くなってごめん。よかった、はるちゃんと食べてたんだ。」


息が切れてる。走って来てくれたんだ。


少し暑くなって来たせいで汗ばんだ首筋が綺麗。



「え?!」


「あ、ごめん。」


思わず姫の首筋を人差し指でなぞっていた。



姫の顔が真っ赤だ。

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