反省会

 異世界『控室』。


「ふいいい激闘だったぜ!! 今度は文句抜きのタイマンがいいな!!」

「勝てて、勝てて良かった⋯⋯ほんとに」

「んんwww御三方、順調で素晴らしいですぞwww」


 へ――――?

 とメルロレロが振り返った先、高月さんの肩に白ウサギが乗っていた。


「あれ? いつの間に行ってたのか、めっふぃ!」

『人智を超えた経験だったよ。敗北してもおかしくなかった』


 高月さんが首の下を撫でると、白ウサギはくすぐったそうに身体を揺らした。


「よっしゃ風呂だ風呂! 行くぞメルロ!」

「えぇ!? あ、待って私、心の準備が⋯⋯⋯⋯ッ!」

「んんwww我が肉体で温めておきましたぞwww」

「え゛っ!!?」


 色々整理がつかないまま衣服を剥かれる。よほど満足いった激闘を経たのか、高月さんは止まらない。自分も服を脱ぎ散らかしながら檜風呂に突撃する。


「んんwww元気な子たちですなwww」


 脱ぎ捨てられた衣服を回収するクサハエル。洗濯表示を物色、リビングの引き出しから洗濯ネットを取り出しながら。


『彼女たちあんまり気にしないから、まとめて洗濯機に入れちゃっていいよ』


 思念に手が止まる。


「んんwww色物混ぜるのはありえないwww下着も型崩れしては大変ですぞwww」

『彼女たちが人間の範疇にないことは、君もとっくに分かっていることだろう?』

「んんwwwwww」


 クサハエルはまとめて洗濯機に放り込んだ。ドラム式の駆動音がほとんどしない奴だ。


『君もよくよく不思議な存在だ。僕らなんかより、よっぽど上位の存在なんだろう?』


 曖昧な愛想笑いを浮かべるクサハエル。


『僕らは所詮、人の情念が具象化した存在に過ぎない。君たち天使というのは、天の使いなんだろう? 神の存在証明なんて、あやかと出会うまでは眉唾物にしか考えていなかったよ』

「んんwwwあのリーダー格の娘ですかなwww」

『彼女は、人の情念でありながら――――神の座に至ることを目指している』

「んんwww、ちょくちょく現れますなwww」

『そうだね。多元宇宙の存在を認識した今、世界はいかに広いのかを痛感するよ』


 メフィストフェレスは洗濯機のスイッチを押した。入れる前の洗剤を手にしたまま無言の抗議を上げるクサハエル。白ウサギは首を傾げた。


『彼女に協力したい身からすると、僕は情報を集めざるを得ない』


 だから、と前置きして。


「ねえ――――


 囁きの魔力が満ちる。

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