吹雪の終わり

ぎゅっと抱き合う二人。

「ごめん、お前を助けたかったんだけど、こんなことになっちゃって」

「いい、私がしたいことをしているだけ。間違った道を進まないで、本当に良かったと思っているの。だから…死なないで」

「ゆき、お前も…死ぬなよ」

あつきの体はゆきの融けた跡でびちょびちょになっていた。だんだん彼女の体が光を放っていく。

「ああ、なんで、こんな…」あつきの目から涙が出た。目のあたりで凍るのが痛い。

まぶしく光ったかと思うと、もうすでに目の前に彼女はいなかった。

「ねえ、雪はね、春に融けて長い年月をかけてまた雪になって舞い降りるの」


雪女は表情もないまま立ち尽くしている。あつきは悲しさと寒さで立ち上がることができない。

「人間…逃げることもできたのに、お前は」

一言そうつぶやいて、雪女はどこかへ飛び去った。

雪は止み、厚い雲の切れ間から、太陽が顔を出した。


「おーい」「しっかり、川崎さん」

斎藤さんとつかささんの声であつきは目が覚めた。晴れている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る