小柄少女が裸足でメルヘン体験する話

ライラック

小柄少女が裸足で絵の中に遊ぶ話

私の名前は有薗真菜。水泳部所属の中学2年。ちょうど部活を終えて着替えを済ませたところです。今日は鍵当番だったので、ほかの部員は帰りました。

黒髪ショートで、同性の友達からは小柄で可愛い、小動物系、ふわふわしてると言われます。

衣替えがあって、半袖セーラー服に、膝が見えるぐらいのスカートなのだけど、プールの後は紺のソックスを履かずに、色白な足を23cmの上履きに突っ込んでいます。


鍵を返して、そのまま夕焼け色に染まる廊下をひとり歩いていたら、美術室に誰か入っていくのが見えます。

確か・・・本条蒼くんだ。2年から同じクラスになって、何回か話したことがある。男の子なんだけど、私以上に肌が白くて、ほかの男の子より小柄で可愛い。

でも美術室に何の用事があるんだろ?


本条くんの謎行動が気になって、私も美術室に入ってみる。

コンコンコン ガラガラ


「お邪魔しまーす...」


「!? 有薗さん、どうしてここに」


「えへへ・・・あれ、本条くんが絵の中に!?」


なんと、本条くんの右足がキャンバスの絵の中に吸い込まれている。

この世のものとは思えない光景にびっくりした私は、その場で固まってしまいました。

本条くんもしばらく固まっていたのですが、足を絵から抜き出して、私のもとに歩いてきました。


「びっくりした?」


「時間が止まるぐらいびっくりしたよ〜どうなってるの?!」


「興味があったら絵の前まで来て」


「うん・・・」


恐る恐る、本条くんの足を食べようとした(?)絵の前に立つ。

キャンバスに描かれた絵はマーブリングの作品で、水色、ピンク、オレンジなどのパステルカラーが渦巻いていたり、波打っていたりします。

人ひとりが手を広げても収まりきらないほどの大きさで迫力があります。


「大きい絵だね! これが本条くんの足を食べようとしたの?」


「食べ・・あっはは!! そう見えた?」


「むぅそんなに笑う? 心配したんだよ」


「ごめんごめん。ふふっ..僕から入ろうとしたんだ」


「そうだったの!? 絵に入るって不思議...」


「うん。試しに絵を触ってみたら?」


「ええっ、やだぁ」


「どうして? 食べないし安全だよ」


「食べるのは忘れてよー..ええいっ」


私は上履きを脱いでそーっと右足のつま先からマーブリング模様にくっつける。

絵との境界で裸足のつま先が絵の中に消えていくのと同時に、ほわほわと暖かい感覚が足に伝わってきて、緊張が少し解ける。


「ほぁ..あったかくて気持ちいい...地面はどんな感覚なんだろ?」


本条くんは笑顔で頷く。

絵は、初めて対面する私に、楽しい感覚で包んであげるからおいで、と誘っているようです。

私は右足をかかと、くるぶし、ふくらはぎと絵の中にそろりと入れていき、地面を探します。

次に感じたのはなんともいえない感覚。


「わわわっ、柔らかい! ちょっとくすぐったいよぉ」


「ふふっ、気に入ってくれた?」


「うん! まだちょっと怖いけど..底なし沼かもしれないし」


「底なし沼はあるけど沈んじゃっても息できるし、汚れないし、簡単に脱出できる」


「ほんとに?」


「ほんとにほんと。だから、その..有薗さん、絵の中で一緒に遊んでみない?」


「絵の中で..楽しそう! いいよ」


思わずOKしちゃった。けど男の子とあまり遊んだことがないのに、一緒に絵に入るなんて想像を超えてるし、何が起こるかわからなさすぎて不安。

それでも本条くんがキラキラした眼差しで私と話していることと、絵の中への好奇心との両方が強かったのです。


「本条くん。すぐ来てね」


「すぐ行くよ有薗さん。」


お互いに微笑むと、私は左足の上履きを脱いで、思いっきり顔から絵の中に飛び込みました。


「わぁぁぁーーすごいっ」

「模様が動いてる〜」


目の前に広がる七色の世界。

地平線が曖昧で、どこを見渡してもパステルカラーがゆっくり渦巻き、波打っています。

そんなメルヘンすぎる果てしない空間にぽつんと細い足で立っていて、なんだか心細い。

私の姿を見たら本条くんどう思うんだろ。


「足指の間くすぐったいぃ」


いつの間にか両足が埋もれていて、足の甲は見えているけれど、パステルカラーが足指の間からにゅるんと泥みたいにはみ出しています。


「とろんとろん..」


うっとりして、その場でゆっくり足踏みしてみる。

足を動かすたびに模様も動いて、踏むたびにどんどん柔らかくなっていく。

踏む瞬間に弾力があったり、まとわりついて足を上げるのが大変だったりします。


「焼く前のパンケーキ生地みたい。すごくねとねと」


「少し歩いてみよっ」


白くて細い素足で、つかみどころのない空間を受け止めてから、絵の中の冒険にもう1歩足を踏み出します。


「・・・うぁっ!!」


予想外に滑りやすくて、危うく転びそうになりましたが、何とか持ちこたえました。


「表面つるつるだぁ!」


浅いところでは滑りやすいことを知りましたが、幸いにも(?)徐々に深くなって、3歩で足の甲までねとねとに埋もれるぐらいになりました。


あ、足元のこと、泥じゃないから『ねとねと』って呼ぼうっと。


でも、どんどん深くなったら、歩くのも大変になりそう...

泳ぐのかなぁ?


「足跡すごいことになってる..」


裸足で歩いてきた場所を振り返ると、最後の2歩までは田んぼのように足を引っこ抜いた跡が残っているのに、3歩目からはもう足跡がなくなっていて、その代わりに踏んできた場所が一際輝いています。


「なんで光ってるんだろ? 不思議だけど、これなら来た道を戻ってこられそう!」


もし迷子になっても、入口まで戻れることに安心しきって、もう少し奥まで歩くことにしました。


「あそこに渦巻き模様がある! 足入れてみようっ」


私の足のサイズ24cmと同じぐらいの渦巻きを見つけて、渦が消えないうちに裸足で触ろうと、転ぶのをいとわずに走りました。

とうとう渦巻きに左足を差し込んだその時。

ガシッ!


「えうっ! 足がつかまっちゃった!?」


見えない手らしきものが、ねとねとの下から、私の足をつかんできました。

私はバランスを崩して尻もちをついてしまいました。

そのまま恐怖で動けない私の足を、ぐいぐいと、ねとねとの渦の中に引きずり込もうとします。


「た...助けてー!! 本条くーん!!!」


有薗真菜、人生最大のピンチです。

このままだと底なし沼に呑み込まれて、無防備な姿の私は沼の主に体中くすぐられ、えっちぃことをされて、食べられちゃうのかも。


「足舐め回すぐらいで見逃してほしいな.....」


と、次の瞬間。

私の左足が解放されて、ヌチャァという音とともに、ねとねとが人型に盛り上がりました。


「ひぃっ! ...あれ? 本条くんだ!!」


ねとねとのベールの中から本条蒼くんが出てきた。

何やら笑いを堪えているみたい。


「あ、有薗さん。くくっビックリした?」


「え? えっ? 助けてくれたの?」


「ちがうよー足を引きずり込むフリをしてた。ドッキリ大成功!!」


「えええーっ! ば、ばかぁぁーーーーーー!!」


私は尻もちをついたまま、両足で軽くげしげしと本条蒼のふくらはぎを蹴った。


「本当に怖かったよぉ、うぇぇんグスッ、いじわるぅぅ」


「うっ..ごめん。泣くほど怖がらせて。僕ダメだね」


「ひっく、うぅ・・・」


しばらくその場で泣きじゃくりました。

本条くんは私の横に寄り添って、私の背中をさすったり、手を握ってくれたりしました。手、私と同じくらい小さくてあったかいなぁ。


「落ち着いた?」


「うん」


「よかった。じゃあ一緒に立とうよ」


そう言い、差し出してくれた手を私は取る。

ふらついちゃったけど、ようやくふたりで絵の中の世界に立つことができました。


「改めて、絵の中を歩いてみてどう?」


「んとね、どこまでも広そうだし、模様がゆっくり渦巻いて波打ってるし、とろんとろんでねとねとの感覚を裸足で味わえるし、とっても楽しい!」


「わあ、気に入ってくれて良かった! 有薗さんって感性豊かな人なんだね。普段おとなしくて透き通った声で可愛いと思ってるけど、綺麗な裸足でこんなところに来てくれて、さらに違う一面が見られて嬉しい」


「かっ、可愛い?! 綺麗だなんてそんなぁ! 私身長155cmと小柄だし、体のいろんなところが貧相だよ?」


「ううん。僕は158cmだから、同じ目線で話せるのが良いと思ってて、色白なところも、手足の大きさが同じぐらいなところも、変な話親近感がある。」


「そこまで本条くんに言われると、なんか照れるなぁ。同じ目線で話せてるのは楽かも。私の足ってそんなに綺麗に見えるの?」


「うん! 形が整っていて、爪の形もすごく綺麗で、色白で、健康的だと思う。しかもさっきから話していて、裸足で地面を撫でたり、足指をきゅっと丸めたり、僕を優しく蹴ってくれたりしていて、表情豊かな足だなぁって感動してる」


もう聞いているだけで恥ずかしくて天に昇ってしまいそうです。

私自身素直になんでも言う性格だけど、本条くんは性癖全開で純粋に話してくるから、私より1枚上手だ。というか変態いじわる発言だよぉぉぉ


「は、恥ずかしすぎるよ..私の裸足を好きになったんだね。マーブリング模様に似合ってるかなぁ」


「すっごく似合ってる。メルヘンすぎる世界に小動物みたいな少女が飛び込んで、裸足の冒険をするだなんて、見ている僕も幸せ」


「えへへ、似合ってるって言われて私も幸せ。男の子は少し苦手だったけど、本条くんとなら仲良くなれる気がする。そだ、もしよかったら・・下の名前で呼んでもいい?」


「! もちろん。お互い呼び捨てでもいい?」


「いいよ。蒼、いっぱい遊ぼうね」


「真菜よろしくね。僕からもお願いしたいことがある」


「なぁに?」


「真菜の裸足舐めたい」


「え、えええーーっ」


頭の先からつま先まで熱くなるほど恥ずかしい。

確かに足が捕まったときは、舐めるぐらいで見逃してと言ったけど、言ったけど!


「や、やだぁ・・・」


「ダメ?」


「ダメだよ、あと蒼はいじわるだし色々ダメ」


「うぅっ、そんなぁ」


がっくりと崩れ落ち、おばあちゃん座りに両手を前についてうなだれる蒼。

見ていて気の毒になる落ち込み方。


「・・・ごめんね、そんなに舐めたいんだ、私の足」


「うん、グスッ」


「いいよ、舐めて」


「・・ほんと!?」


パァァという効果音が流れそうな、晴れやかな笑顔で蒼は私を見つめてくる。

かっ、可愛い..


「ほんとだよ。私の気にしていなかった足の良さを蒼が見つけてくれたから」


「ありがとう真菜。じゃあさ、僕のお気に入りの場所で舐めてもいい?」


「お気に入りってまさか」


「そう、僕が現れた、底なし沼の中。とろっとろで、無重力みたいで、気持ちいいよ」


「私、そんなところに入ったら、一瞬で意識が飛んじゃうかもしれないよ?」


「うーん大丈夫じゃないかな。それに何が起きても僕が一緒に居ると誓う」


「約束だよ。放置されたら永久に迷子になっちゃうから」


「約束する。心の準備はできてる?」


「できてる!」


「よしダイブしよう。手をつないで」


差し伸べられた蒼の手を握ります。今度は手の指1本1本を絡ませて、簡単にはほどけないように。

蒼と私は2人分がすっぽり収まる渦のほうに歩いていきます。

どんどん深くなり、蒼に足の上手な抜き方を教わりながら、ゆっくり進みます。

その後なぜか足が埋もれなくなったところで、ついに底なし沼の1歩手前に着きました。


「真菜、渦に両足を乗せたら、手をつないだまま足踏みをして。膝まで埋もれたら急に全身が取り込まれるから気をつけてね。」


「うんっ」


真剣な表情の蒼にニコッと笑いかけてから、埋もれていなくて汚れのない私の両足を見ました。

これから蒼に舐められるんだと思うと恥ずかしすぎて溶けちゃいそうになります。でも蒼は私の足を褒めてくれました。私が上履きを脱いでも遊び回れる世界に誘ってくれて、今こうして裸足の楽園まで連れて行こうとしている。


私、蒼の望みを叶えられるようにがんばります。


夢中で足踏みを続けていたら、ぐわんと体が沈む感覚がしました。

ぽわぽわと浮遊する感覚で我に返ると、そこは七色の光が極彩色となった空間でした。


「・・菜、真菜、しっかりして真菜!」


「あ、蒼。おはよ」


「寝ぼけてるー!?」


「綺麗すぎて夢みたい」


「足動かしてみて」


「こう? うきゃっ、柔らかくてくすぐったいよぉ」


「あははっ、真菜は無重力だと更にふわふわしてて可愛すぎる。」


「〜〜〜っ!!」


ボンッという爆発音が出そうなほど恥ずかしいです。

地に足着いた生活を送ってるつもりなんですが、私ってそんなにふわふわしてるの?


「からかってごめん。2ショット撮ってもいい?」


「うん!」


蒼はスマホを取り出し、スマホを空間にうまく固定して、ふたりの全身と背景が収まるように撮ってくれました。


「大の字になってリラックスしててね」


私はこくりと頷き、手足を広げて、空間に漂うようにしました。

すると、蒼が私の足の方に泳いで来て、左足をつかんで触り始めました。

まずは足の甲を撫でてから軽く揉んできます。

次に足指の間に蒼の左手の指がランダムに入ってきました。


「ふぁ..手つきえっちぃよ...んっ」


「緩くする。真菜って学校で裸足になってること多いけど、裸足に目覚めたきっかけあるの?」


「去年、家族旅行した時に、えと、泥火山に水着で入ったことがあるの。はじめは怖かったのに、生暖かくてもったりしていて、全身灰色の泥にまみれて泳いじゃった。その時の感覚が忘れられなくて、今も、たまに、裸足になってるのかも」


「泥火山も楽しそう! ここに居ると泳いだの思い出す?」


「少し思い出す、かな。感覚は焼く前のパンケーキ生地みたいで似てる。でも現実離れした綺麗な色と、蒼と一緒に居ることが、新しくて、ドキドキする」


蒼の手は私のくるぶしとふくらはぎを優しくさすっていました。


「ほんとに良かった。真菜がこんなに無邪気に遊んでくれて。一生物の思い出になる」


「えへへっ。私の足を大事にしてくれてありがと、蒼」


蒼は優しい表情のまま、私の左足薬指と小指を口に咥えて舐め始めました。


「ゃん..くすぐったぃ」


私が変な声を出すのをよそに、蒼の舌は緩急をつけて、私の左足の指、足裏、足の甲を舐め回していきます。

感じるたびに足指がピクンと動いて、つかみどころのない空間をさまよう。


「くるぶし..あはっダメぇ..ほぁ、あはははは」


私の顔は紅潮してふにゃふにゃになり、笑い転げて涙が出そうになっています。

気絶しちゃいそうになった時、蒼は足から口を離して、最後に左足の甲にキスをしてきました。


「き、き、キスふぁれひゃっらぁ」


「ごめん嫌だった?」


私はふるふると首を横に振る。

びっくりしながらも、蒼なりの愛情表現を受け入れます。


「蒼が一心不乱に足を舐めてるの、なんだかおかしくって、可愛かった。」


「お、女の子に可愛いと言われるのは、喜んでいいのかなぁ」


私はにっこりと微笑む。

恥ずかしそうにしている蒼が愛おしい。


「少し休憩しよーあふっ、は、やいいっ、んぁ」


右足の親指を咥えられた私は、再び底なしの快楽に呑み込まれてしまいます。


「あはははははは、おかしく、あは、なっちゃうぅぅぅぅ」


くすぐったい。

恥ずかしい。

ぬるぬるする。

気持ちいい。

幸せ。


「いやぁぁぁぁぁぁぁ・・・ーー」


私はいままで味わったことのない感覚に染まりきって、とうとう、意識を手放してしまいました。


***


背中の固さと枕?のような感覚に目を覚ます。


「んっ、あれ・・・ここは美術室?」


「真菜気がついた! よかったぁぁ」


「ふぁ・・って蒼顔近い?!」


私の目の前に蒼の顔があって、さらに奥には無機質な天井があります。これってもしかして。


「私、膝枕されてる?」


「ご、ごめん。真菜が気絶すると思わなくて、おぶって絵の外に出て、ずっと体を離さずにいたんだ」


カァァーと体が火照り、思わずポカスカ軽く蒼のお腹を叩く。


「ヘ、ヘンタイ! えっち! 男の娘!!」


「男の娘は刺さるなぁ..」


「でも無事外まで連れ出してくれてありがとう。」


そのまま私はうつ伏せになり、蒼の胸に抱きつきました。

蒼の鼓動が急激に高まっているのがわかります。

私と同じぐらいの体格で、シャンプーの甘酸っぱい匂いがします。

しばらく蒼に身を委ねていると、蒼も抱き返してきて、右手で私の頭を撫でてくれました。

そのまま私たちは、お互い落ち着くまで、ぎゅーっと抱き合い続けていた。夕焼けが終わりかけてわずかな残光が西の空を照らしていた。


「蒼とまた秘密の遊びしたい。これから毎日連絡してもいい?」


「いいよ。真菜の私服姿気になるし、今度は休日に遊ぼうか」


「私服デートわくわくする!!」


「プラン一緒に考えようね。じゃあ帰ろうか」


「うんっ」


私はわざと上履きを片手に引っ掛けて、裸足のまま、蒼と肩を並べて廊下を歩いてみます。

リノリウムの床がぺたぺたしていて気持ちいい。

普段は人の目を気にして上履きを履いているけど、ふたり以外誰もいなければ、できるだけ裸足になりたいぐらい、私は特殊性癖に目覚めてしまいました。


昇降口でソックスとローファーを履いて、校門で別れました。


帰宅途中に受信した1枚の画像には、無重力なふたりが並んでいて、お互いダブルピースをして、照れくさそうにはにかんでいました。

蒼は今ごろ、2ショットを見て、スカートから伸びる私の両足が少し膝を曲げていて、足の爪が完全に映り込んでいるから、愛おしそうに保存するのかなと想像した。


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