第26話 時計の針は終わりを迎えようとしている。
昨日水をかけられたせいか、風邪をひいてしまった。
「まったく、私は今日昼から仕事だし、午前中は家にいるから何かあったら言って」「ごめん」
「そりゃ昨日体操着で帰ってくるくらい濡れてるんだから無理ないわよ。ゆっくり休みなよ」
1日猶予ができたと考えればいいか。この1日で他にいい方法が浮かぶかもしれないし。今日はゆっくりしてますか。眠いからとりあえず寝よ。
目をつぶると私は時計の音が聞こえる。そして、眼を開けたら夢の中で、見れる時計塔があった。
「ごくろうだったな」
この世界に最初に来た時、時計の説明をしてくれた男がいる。なぜか親近感がわいているが、誰なのかはわからない。
「何を言ってるの?」
「時計を見てみろ」
私の寿命がわかる時計。男はそれを見るように言った。
「え、なんで」
「昨日、相当の速さで動いていたからな」
私の時計が残り8時間になっていた。
「なんで私はまだ」
「鍵はお前の兄。鍵がもろくなれば生きる道がなくなる」
「だったら今まで」
「兄がいない間。お前は兄のせいになんでもしてきた。しかし、今はどうだ?そのすべてが自分のせいだと受け入れざる負えない。そうなったらわかるな?」
「違う。私は」
「もうお前に時間はない」
「だったら今日何もしなければ」
「あの時計の事実は覆らない。誰にもな」
もしかしたらこの夢の中でのショック死を狙っているのかな。だったら早く起きないと。!!。いつもなら、起きれるはずなのに、全然起きれない。
「タイムリミットが違くなればなるほど、起きることが難しくなる」
「お願い。私はまだ」
昨日確かに助かる方法は1つしかないと思った。でも、あれをやるにしてもお兄ちゃんと話したい。こんなところで」
「覆すことは無理だ。すまない。俺にもっと助けれる力があれば」
なんで、あの人が謝るんだろう。この世界を作ったのも、私をこのようにしたのも、全部この人のはず。
「あなたいったい誰なの?」
「俺は未来に導くもの。しかし、その未来を知っていも、結局は本人には伝えることができない」
「どういう」
「時間だ」
その男は空気のように消えていった。それと同時にあるはずの扉もなくなっている。私は完全に閉じ込められたのだ。
「誰か。助けて!!いやだ。死ぬのが怖い。怖いよ」
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