第20話 京香の居場所

 日がたちほとんどの教科の答案が変えってきた。点数的には思っていた通りいつもよりは点数は低いが平均点的に考えれば結構いい方といっていい。

「櫂はどうだった?」

「全部回避一安心だわ」

 あとは京香ちゃんか。昨日メールで一応報告はしたいから放課後合わないかと来た。おそらくこれが、俺らの最後になるだろう。笑顔で終われるようにしないとだな。


 


 今日先輩と会うことが決まった。私がメールをして、先輩からも許可はとってある。最後に先輩と笑顔で終われそうだ。赤点回避。さらに数学と英語は60点だったし、社会なんて80点!!先輩喜ぶだろうな。楽しみ。

「へー佐藤さん頑張ったんだね」

 全く話したこともない人から声をかけられた。先輩と別れたら他の人とも仲良くしたほうがいいよね。

「私の家庭教師が頑張ってくれて、私点数取れた」

 どうやって話せばいいんだろう。恐怖はなくなったけど少しまだ難しそうだな。

「そうなんだ。その人もすごいけど佐藤さんが頑張ったからだよ」

「あ、あの。京香って呼んでくれませんか?」

 これが私の第一歩。勇気を出して友達を作るための。

「うん分かった。私、斎藤加奈子。よろしくね京香」

「よろしく加奈子」

 初めて名前で呼べる人ができた。ずっと一人だったけど友達と話すのも悪くないかも。

「あの、何で話してくれたんですか?」

「その、前から少し気になってたんだけど、少し近寄りがたくて。でも、彼氏さんができてなんというか話せそうかなと思ったの。だからタイミングうかがってて」

 私に話しかけようとしてた。だけど私が避けてきたから、勝手に壁を作ってたから話せなかった。確かにそうだ。この壁も壊してくれた、のも先輩なんだな。ほんと感謝しかない。今日でいったん終わるけど、先輩とはもっと私が強くなったらもう一度告白しよ。そして今度こそ婚姻届けを書いてもらいたいな。

「じゃーさこれも何かの縁だとおもうし、今度遊ばない?」

「何するんですか?私遊んだことなくて」

 まだ何もわからない。アニメのならわかるけど、先輩と付き合ってギャルゲーでやるようなことは大半違うことはわかったし、今度はちゃんと聞くことにした。

「買い物とかだよ。私の友達もいい人だからすぐに仲良くなれると思うし」

「ほかの友達?」

「京香が遊びをしらないなら教えてあげたいしね。大勢のほうがいいでしょ」

「いいの?」

 こんなほぼ初対面の相手なのにぐいぐい来てくれるなー。

「もちろん!だって友達だもん」

 友達。いい響きだ。少しうれしい。

「今日は先輩にあうけど。基本いつでも会えるから」

「え、でもいいの?」

「うん。先輩ともこれからはほかの人も仲良くするよう言われてるから」

 嘘だけどここで分かれたなんて言いづらいし。しょうがない。

「そ、だったら土曜とかどう?」

「うん大丈夫!!」

 これで先輩に話せるいいことが増えた。


「聞いたかよ。充。最下位だってな」

 充ってあの私に絡んできた人か。会話してるのは付き添いしてた人。でも、最終日は先に帰ってたな。

「京香がいるからって手を抜いてたのが悪いんだろ」

「俺らも気をつけねーとだな」

「ほんとそれ、さすがに元1位負けてらんないよな」

 元1位。ワーストだからいやだけど。今思えば笑えて来るな。次のテストはここまでとれなそうだけど。私はもっと頑張らないと。


「あの子だよ。入学できたのすら奇跡って呼んでいいくらい中間のテストがダントツで悪かったのにすごい点数出したって噂の」

 テストを受ける前までは私のうわさなんてまったく聞かなかったのに今では少し注目されてる。いや、入学ができたこと奇跡とか言われてたの私。ひどすぎでしょ。言い方えよ。いい噂だ。どちらにせよ私だけの力できたわけでないし少し恥ずかしい。

「あいつよく見るとかわいいよな」

「あ、でも彼氏いるらしいぞ」

「なんだよ。彼氏目をつけるのはやかったなー」

 先輩がうまく男よけになってる。それに私から告白したんだけどな。まさか、たかがテストがんばっただけで、ここまで環境が変わるなんて、テストってすごいな。1人だけこの姿を受け入れらないだろうけど。また放課後面倒なことになりそうだな。


「かわいい弁当ですな」

 昼休みは先輩と食べることがなくなったため、美香子と食べている。お弁当はお母さん特性のキャラ弁。幸い人に見せれるような猫だからよかった。たまにBLとか普通に作るときあるから。もちろん写メとってます。

「お母さんこういうの得意だから」

「すごいね」

「ミカ、こん。あ、この子が噂の」

 誰かきた。美香子の友達かな?

「そう。名前は佐藤京香。京香この人佐々木愛衣」

「よ、よろしく」

「噂通りかわいいね」

 なんか抱かれた。先輩みたいな感じで。

「こら。びっくりしたでしょごめんね」

「いえ、」

「いやいやこんなロリ系キャラ見てこうしないほうがダメでしょ。オタクとして」

 オタクという言葉に私は反応せざるおえなかった。

「だからそういうのは分からないって」

「ミカもアニメ見るべきだよ」

「あ、あの。こ、これ」

 自分からアニメ好きとはいうのが少し抵抗があったため、私の部屋の写真を見せた。

「え、これ、ゆらゆら?何で持ってるのま、まさか」

 ゆらゆらは2巻で終わったいわば打ち切り漫画。私は好きだったんだけど。これに目をつけてくるところやはり同種だ。

「私もソ、そのアニメ好き」

「きょうきょう」

 また抱き着かれた。

「ふふ」

 美香子に笑われた。

「私変こといった?」

「いや、あんな怖いオーラだしてた京香がオタクだと思うと」

 私そんなオーラ出してたんだ。

「まじでさ、美香子速く仲良くなっててよ。こんな最高の同志がいるならもっと早く会いたかったー」

 といってもまだ夏休みすら迎えていないくらい月日がたっていない。一回でバカにされているからたった数か月も相当なのだろうけど。

「これからたくさんはなそ」

 そういえば先輩にアニメ好きなの隠してるままだったな。っまいいかどうせすぎていくんだし。

「それで、彼氏いるし、腐のほうは?」

 腐って腐女子のことだよね。

「私、どの恋愛も行けるタイプ」

「仲間だ」

 なぜか握手している。これが普通なのかな。

「私はのけ者のような」

「すねないでよミカ」

「すねてないし」

 完全に今固まっている。すねるってなに?今ので落ち込んでたらすねるってことなの?ヒロインも彼氏も周りには私しかいなかったしすねられたことないからよくわからない。

「よし。土曜はアニメショップ行こう」

「賛成です」

 アニメショップで友達とアニメの話わくわくする。

「私は嫌よ」

 すぐに加奈子が拒否をした

「強制です」

 ナイス対応力さすが長い友達。

「美香子もいってほしい」

 さらに私がカバーした。

「きょ、京香がいうなら」

 なぜか顔を赤くさせてしまった。


 昔では絶対に作ることのできなかった私の居場所。それができてすごくうれしい。先輩に早くお礼を言いたい。


 放課後1週間ぶりに先輩とあった。

「なんか懐かしいですね」

「そうだね」

 先輩やっぱりかっこいい。

「先輩に報告があって、テスト以外に」

 テストの結果の前にあの話がしたかった。

「何?」

「今日友達ができました」

「まじで!!よかったじゃん」

「全部先輩のおかげです」

 やっぱり大喜びしてくれた。それがうれしい。

「どんな人なの?」

「まだ、ちゃんとは分からないけど、先輩並みにぐいぐい来る人です」

「それはまた大変で」

「でも1人だったときよりいい気分です」

「報告終わったことですし、本題に入りましょうか」

 テストの報告。

「あまり心配してないけどどうだった?」

「それがですね。聞いて驚かないでくださいよ」

 私はバックの中からテストを探した。

「あ、あれ、ない」

 入れているはずのクリアファイルには問題しかなかった。

「学校に忘れてきたんじゃない?」

 そんなはずないのに。毎回戻されたらすぐにバックに入れてたのに。学校なのかな?

「あ、でも英語はありました」

 幸い1番喜んでもらいそうな英語だけあった。英語は最後に返された教科だしありえなくはないんだよな。

「え、60!!すごいじゃん」

「すいませんほかの教科は口になってしまって」

 私はほかの教科も口だけどちゃんと正直に言った。

「理科と国語はぎりぎりで、社会はすごすぎ、苦手教科だった数学と英語は60点。すごいすぎ」

「信じてくれるんですか?」

「英語がこれなら嘘つくとは思えないよ」

 少しほっとしている。やっぱりいい人なんだ。

「長居はやめたほうがいいしそろそろ解散しようか」

「そうですね」

 これ以上先輩と一緒にいたら、またあの感覚に戻ってまた先輩が必要になってしまう。だから早く解散するというのは賛成だ。

「あ、でも最後にお願いいいですか?」

「何?」

「日記。今日見てください」

 先輩にはお世話になった。あそこには私の考えることや先輩への思いが書いてある。それに今回別れる覚悟した時に書いた手紙のようなものも。

「わかった。見るよ」

「サヨナラ先輩」

「っじゃ京香ちゃん」

 これで私と先輩の物語は終わる。時計。つまり私が仮面をつけた人から事故にあったときに着けられた死ぬまでのカウントダウンが見れる夢の中の部屋。あそこの時間は日に日にせまっている。でも友達ができて、先輩との約束もできた。だから、別に悔いはない。どんな死に方をするかわからないけど時間が0になるまで楽しも。

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